- ナノ -

いちゃいちゃ+α




 触れる手のひらはあたたかい、どうにもくすぐったい感覚に声を抑えることが大変で枕に顔を埋めたのはもう何分だか前のはなし。おれの尻を揉む嶺の手付きに卑猥なそれはない、ただ純粋に疲れを癒すためのその触れ方は逆に新鮮で。薄い布、下着越しに触れる手のひらの温さに瞼は次第と重たくなるばかり。いっそ、眠ってしまえれば楽なのだけれど。

「んん、ランラン寝ちゃだぁめ」
「ひ…ぁ、れ、いっ」
「ふふ、くすぐったがりな蘭も可愛いよ。だーいすき」

 妙に弾んだ笑みを返した嶺は頬擦りでもしているのか、徐々に重みがかかることで知ったのはどうやら嶺はおれの尻を枕にしているらしいということ。ふに、だか。むに、だか。そんな効果音を付けるのは癪だけれど、それでも他に比べる箇所と言えば胸ぐらいだろうとも言えるそこは頭に敷くには最適らしい。嶺の頬が触れる感触だけを頼りにそう結論付けて、息をするために少しだけ顔の位置をずらしてから再度枕へと身を委ねる。

「れい、ねるのか」
「んー、ランランは?」
「おれは、ねむい、かも」
「ふふ、ランランの枕だあ」

 揺蕩う意識のなか聞いたそれはきっと的確な回答ではなかったと思うから、たぶん嶺の奴もだいぶ意識が薄れていたんだろう。エアコンによって適度に暖められたベッドルーム、顔を埋める枕からは嶺のにおい。あと、尻には嶺のほっぺた。寝息をもらすのは、さてどちらが先か。



‐End‐
20131209.