- ナノ -

したかんじゃった




「誤字、だせぇやつ」
 掛け布団のした、肩だけを覗かせて頬杖をつきながらiPhone片手に喉をならすランランの、今は位置的に見えない首元や鎖骨付近には真っ赤な花が咲いている。結局レコーディング後に夕飯を誘いがてら連絡をするとどうもランランは既にご飯を食べたあとだったらしいけれどぼくに付き合って晩酌をしてくれた。明日もお互いに早いから、少しの擦り合いと、あとはぼくが衣装を着ることで見えなくなる位置に赤を散らしただけで二人一緒にベッドに潜ったのは今から30分ちょっと前。寝る前にとガール達向けに呟いていたらどうにも眠気が勝ったのか気付けば誤爆をしていて。苦し紛れに言い訳を重ねるぼくにランランはそれはそれは楽しそうに笑って見せた。
「なあれいじ」
「んん、そろそろ寝る?」
 ガール達におやすみの挨拶をしたあとに不意に呼ばれる名前。くい、と伸ばされた手に顎を掬われて見れば目の前には半身を起こしたランランの姿。
「舌噛んだ箇所、消毒してやるよ」
 妙に艶めいたその言葉を最後に重なる唇に、ああもしかしたらちょっぴりヤキモチかなあ、なんて。おめでたい頭、ってガール達には笑われちゃうかもしれないけれど今が幸せだから笑われたっていいですよーん。



-End-
20131026.