- ナノ -

アンダーウェア




 下着の色が変わる様がえっちだなと思った。本人は眠っていようが、人間の身体は与えられる刺激に敏感で、そして快感に流されるのはもはや抗うことのできない性なのだろうとすら感じられる。寝巻き代わりのハーフパンツは長年愛用しているのか腰ゴムが緩くなってきた、と確か前にランランがごちていたのを聞いた気がする。なるほど、ぼくが指をかけたらするりと脱げたのはそのせいかと無意識に口の端がつり上がった。つい、と腰ゴムにかけた指を下へ、下へと降ろしていく。たかだか指一本の動きでいとも簡単に落ちてしまったハーフパンツは眠っているランランを表すかのような無防備具合で。「ぼくちんちょっぴり心配、なあんだけど」一人呟いた声は夜の闇に溶けていった。
 指先でくにくにとランランの性器に刺激を与えていく。今日はなんと特別仕様、下着をつけたまま、でだ。別段着エロだとかそこらへんのAVが吟っているようなそれに特に興奮するといった性癖は持ち合わせていないけど。それがランランだと、話は別だった。指の第二関節を曲げて、第一関節から第二関節までの面をふんだんに用いてランランの性器を撫で上げる。下着ごしだから明確には判断できないけれど、そのもどかしさもある意味乙だろうと。ふにり、と触れたそこは熱は持たずに下着の下で落ち着いていたはずなのに。こしこしこし。指で擦り上げる動作に逐一反応するかのように僅かに腰を浮かせてぼくの指に性器を押し当てるような、そんな眠っているからこそのランランが快感に従順な様子がたまらなく愛しい。こくり、と上下する喉はぼくがどれだけ興奮しているかを如実に表しているはずだ。
 ふに、と柔らかな弾力がだんだんと固い感触に変わることにそう時間はかからなかった。つぷり。先端から溢れるカウパーで濡れた下着はその部分だけ色を濃くしてぼくにアピールしてくる。

「起きなきゃ食べちゃうよ、蘭丸」

 歯牙を食い込ませるようにその部分へと甘噛みを与えるまで、あと――秒。



‐End‐
20130802.