- ナノ -

たわむれ





「やっ、やめ…っ、…く…」

 室内に広がる独特の青臭さと、決して季節柄とは言い切れない部屋の湿度の高さにどちらかともなく額や首筋に浮かんだ汗がひたりひたりと滴り落ちる。執拗に攻められ赤く熟れた胸元の飾りはつん、と立ち上がり存在を主張し、それを目の当たりにした聖川は再度神宮寺の胸元へと手を伸ばして見せる。指先で摘まみ上げ、つい先程までは互いの口内で絡ませていた舌を這わせればひくり、ともう何度目かの痙攣をして見せる神宮寺の姿に攻め立てている張本人である聖川は薄く笑みを洩らした。


「…ひ、あっ…ん、ひじ、…り、か…わ、」

「どうした、此方が留守のようだが」

 そう言って手を伸ばした聖川は神宮寺が緩く握る二人分の陰茎を神宮寺の手もろとも包み込む。ぐちゅり、と生々しい水音を洩らすそれは赤黒く勃起し先端から漏れる先走りのせいか指に絡み付く度に神宮寺の羞恥心を煽った。加えて自身からも洩れる嬌声に耳を覆いたくなるも、しかしながら片手は聖川と共に自身の陰茎へ、もう片方も乱れたシーツに聖川の左手と共に縫い付けられているためにそれも叶わない。


「…ひじり、かわ、」

 自身の名を呼ぶその声は既に限界を訴えている。ならば、と唾液で鈍く光る胸元へと唇を寄せ、そしてまるで痕を残すかのように吸い上げる。ひくり、と震えた腰は見ぬ振りをして僅かながらに唇を開き、そっと歯を立てた。直後、自身の腹に滴る生暖かい感触を味わった後に目尻に涙を浮かべ放心する神宮寺へと口付けを落とせばぎゅう、と閉じられた瞳からはつう、と一筋の涙が頬を伝うのが見えた。







たわむれ
(…お前ってさ、何でベッドの中だとサドになるの)
(……さど、とは何を指す言葉なんだ)
(…無自覚、ねえ)

‐End‐
Twitterでお世話になっている黛さんの診断からネタを頂きました。黛さんへ捧げます、マサレン万歳ヽ(*´▽)ノ♪
20120701.