- ナノ -

行為の、その後




 ひくひくと内腿を震わせながら頑なに瞳を閉じてぼくの顔を視界に入れまいとするランランの姿にぼくの半身は先程精を吐き出したにも関わらずに芯を持って緩く立ち上がっていた。ベッドシーツに背中を預けて仰向けに天井を仰ぐランランは顔を逸らして、皺の寄ったシーツに頬を張り付けるようにして耐えているのが分かって喉元を無意識に上下するほどにランランのその姿は扇情的だった。額に張り付いた前髪を退けてあげようと手を伸ばして指先でそっと前髪を払えばその僅かな刺激にすらランランの身体は敏感に震えて見せる。いつの間にか、こんなにも敏感になったランランは普段のその姿よりも色気が数割増している、勿論普段の色気だってそれはそれは素晴らしいものだけど、とにかくぼくがランランを抱いているときの彼の姿はそれだけ欲を煽るものだった。
「…ランラン、大丈夫?」
「……っふ、…あ、あ」
 ベッドに横たわって、両膝を立てて開脚をして、ぼくに身体の隅々まで見せるかのようなその姿は本当に色っぽい。M字開脚、と言えばなんとも安っぽいそれになってしまうけれど、誰にも媚を売らずに孤高を貫く「あの」黒崎蘭丸がぼくの目の前でそんな姿をしているといった現状がぼくにとっては何よりにも勝る興奮材料となった。
 ランランの股間に顔を埋める形で、もう何度も精を吐いてすっかり柔らかくなった陰茎を口に含んで回りを濡らす精液を舌で舐め取る。竿に舌を這わせて舌の腹で側面を丁寧に撫でる形で拭っていく間もランランは大きく開脚したその真っ白な、でも今はしっとりと汗をかいた赤らんだ肌の表面をひくつかせていた。
 一度ランランの様子を窺うために口内から性器を解放して、先端に唇を触れさせたままそう口に出せばランランはぼくの言葉に答えを返すことはなくただ唾液に濡れた唇をはくはくと酸素を求めるように開閉させて普段よりも高い声音で小さく喘ぎ声を漏らすだけだった。
「……ほんと、ランランって感度良いよね。ふふ、」
「…ん、…あっ、ああっ」
 ぽつりと呟きを残して、もう一度大きく口を縦に割って口腔へとランランの性器を迎え入れる。じゅ、と音をたてるようにして先端の割れ目に吸い付けばランランは大袈裟なくらいに背中を仰け反らせて見せた。その反応が可愛くて、ただ行為の後の後始末をするつもりだったはずなのにぞくりと背筋に快感が走るものだからぼくもまだまだ若いなと苦笑を漏らしたくなる。戯れに舌を尖らせてぐりぐりと先端へと刺激を加えれば口内の陰茎は再度硬く熱を持ち始めたのが分かってぼくは無意識に目尻を下げて笑っていた。
「れ、じ」
「なあに、ランラン」
「……もっ、…しんど、い」
 何度も喘いだことで掠れたその声音で呼ばれる名前にぼくの半身はお腹に付くんじゃないかってくらいに立ち上がる。それに気付いたけれど、さしてどうこうしようなんて気持ちも沸かずに今はただひたすらに目の前にいる彼を気持ちよくさせたいと、それだけを考えて舌先を這わせた。
 口一杯にランランの性器を頬張って、そっと指先を伸ばして睾丸を揉むようにして可愛がればその刺激で耐えることの諦めた口内の陰茎はふるりと震えて熱い精液を吐き出した。今に至るまで何度も出したことでもうかなり薄くなったそれをこくりと喉を鳴らして嚥下する。ちらりと見上げたランランは顔を両腕で隠すようにして小刻みに身体を震わせているのが分かった。
 つぷ、と人差し指を容易に飲み込んだ後ろの窪みは指一本じゃ物足りないとばかりに疼いて見せる。中に注いだぼくの精液を指先で掻き出す間もランランはずっと身体を震わせていたし小さく艶かしい吐息をひっきりなしに漏らしていたから相当にきつかったんじゃないかと思う。とろとろと漏れ出る白いそれを眺めながらくたりと柔らかくなった性器を撫でれば両腕を離してぼくの顔を見詰めるランランの瞳は涙の膜を張っていて目尻を赤くしていた。大丈夫だよ、と何を根拠にそれを言うのかは分からなかったけれど囁くように伝えればランランは声を漏らすまいとして噛み締めた唇を僅かに緩めて頷く。そんなランランにできる限り優しく笑みを浮かべてから、最後にもう一度性器を咥えて口内と舌をもって綺麗に掃除をする。最後にちゅ、と軽く先端に口付けを贈って解放すると息を整えたランランに頭を軽く叩かれた。





行為の、その後
(……ば、かやろ)
(ふふ、ランラン可愛かったよ)
(…うっせ、)

‐End‐
お掃除フェラに弱い蘭ちゃんはどこにいますか。
20130405.