- ナノ -

寿嶺二×黒崎蘭丸

伸ばされた手は空を切って空振った。与えられることに慣れてはいないくせに、自らはそれをしようと企む姿が実に、らしい、とそう思う。何も掴むことのなかった腕に自分から向かっていく理由はまだ見出だせない。見出だせないからこそ、掴まれてみたいとも思うのもまた事実。はやく、はやく。おれを掴まえてみやがれ。