- ナノ -

寿嶺二×黒崎蘭丸

赤いルージュを引いた唇に触れることはしない。あえて際へと口付けることでその赤が広がることを悦んで、それから己の口にも付着しただろう赤を舐めとった。ぼくを見据える赤も、もちろん唇も。全てを手にしたいくせに、一度全てを壊したくなるのはどうしてだろう。それを君に問うたところで、君はきっと迷うことなくこう返す。 「てめぇが手にいれたもんくらい、てめぇが好きにしろ」それが自分を指すだろうとも、君の場合は全てを抱え込むから。だからこそ、ぼくは君が欲しくてたまらないんだ。