- ナノ -

土岐蓬生×榊大地

たった一枚のレンズを通して覗き込まれることが鬱陶しいと思ったのはもう何度目か。レンズの存在が、その行為自体が。理由をあげればその二つはなんとも矛盾しているのは重々承知。相手の瞳に見透かされていることが腹立たしいことこの上無い。それ以上に目を背けたいのは他ならぬ自分自身であって、相手の行為をどこか受け入れていることを、自覚して悔しくてたまらない。せめてもの負け惜しみも、きっと君は鼻にかかった甘ったるい声で笑うんだろう。腹が立つ、 俺にも、君にも。