- ナノ -

寿嶺二×黒崎蘭丸

酔ってるときのランランこそ破壊力のあるものはない。今だってそうだ、ぼくの膝に跨ったランランはしきりに顔を擦り寄せてくる。さっきなんかほぼ強制的にお酒を口移しで飲まされた。むせるぼくに構わずにランランは缶に残った液体を一気に煽って、そうして今現在のこの状況が出来上がったのだった。
「ランラン?」
「れーじ」
「ん、ぼくだよ」
「れぇじ」
ほら、もうやだぼくちん頭抱えたい。半開きの唇から甘ったるく名前を呼ばれてしまったら最後、なけなしの理性をかき集めてランランを引き離す。けれどもそんな必死のぼくに構わずランランはプルタブが開いたまま置きっぱなしだったぼくの分のビールを傾ければこくりこくりと喉を上下させる。頬はもう真っ赤だし目元のアイラインは滲んでるしでぼくは一体どこに目を向ければ良いのさと叫びたくなる。
「ん、…ぅ」
「…っは、げほっ」
「れーじ、うまいか?」
「…らんまるー、もうほんと落ち着いてよー」
「やだ」
 口移しで飲まされたお酒の味なんて気にしてられないくらいの甘ったるい声音。ぼくの理性はあと何分もつのか。