- ナノ -

如月響也×榊大地

担任からの遣いで図書室に本を届けに行けば窓際の席で本を読む見知った面を見付けた。受験前に余裕だなあんた、と。今じゃすっかり顔を合わせる回数の少なくなった大地へと呟けば。これも勉強の一環さ、とおそらく独語で書かれた医学書らしき物を見せられた。ああなんか、すげえ、寂しいかも。なんて。気付いた感情のやり場が無くて、どうしようもなくなった。響也、と。大地が俺を呼ぶ声に俯いていた顔を上げれば。ぽんぽん、と頭を撫でられてどうしようもなく泣きたくなった。