K'とバカ
ちゅっとリップ音を立てて奴はオレにいきなりキスをしてきた。
「なにしやがる」
そう言い捨てると奴はニコニコとしていた。こいつはかなり幼い頃からネスツに人体改造され、記憶もないため何が正しくて何がダメなのかわかっていない。オレはこいつが苦手だ。何考えてるかわからないしバカだしいきなりこうやって甘えてくる。でもなぜか見捨てれないのだ。
「あのね、この前テレビで恋仲の男の子と女の子がこうゆうことしてたから私もしてみたんだー!」
「オレたち恋仲じゃねぇだろうが」
「私はけーくんが好きだから恋仲ってことじゃないの?」
「…」
オレはこいつのバカさ加減に呆れてアジトから出た。そうすると間もなくして「まってよー」でけぇ声を出して走ってくる〇〇が来た。〇〇はオレの腕に抱きついてきた。どこいくの!!どこいくの!!とやたらと話しかけてくる。
「うぜぇな、付いてくるな。どこ行こうがアンタに関係ないだろ」
そう言って腕を振り払うとオレのことを追いかけてのなかった。いつもこうゆうことをしたら必ずいいじゃん!とか言ってまたオレにくっついてうざいほどベタベタしてくるのだが。その後オレは私用を済ませて夜に帰ってきた。
「おかえりーー!!けーくん待ってたよ!」
なんて声は聞こえるはずもなくオレはそのままソファに腰を下ろし煙草を咥えた。リビングは誰もいなく静かだった。クーラは寝てるだろうしマキシマは仕事だろと考えた。〇〇は何してるのだろう?
少し心配になり部屋を開けた。すると〇〇は寝ていてよく見ると目元が赤くなっていて涙の跡がついていた。オレはベッドに腰をかけ頭を撫でた。机を見るとなにやら汚い字で何かが書かれている紙を発見した。
「けーくんへ。いつもしつこくしてごめんなさい。きらいにならないでください。だいすきです。」
と書いてあると思う。所々汚くて読めない字があったが。オレはそれを読み奴の顔を見て少しだけ今日やったことが悪く思えた。今度はオレからキスしてやろうと思い、寝てる〇〇にキスしてみる。すると〇〇は目覚めた。
「やっとお目覚めかよ。眠り姫サマ」
「け、けーくん!?」
〇〇はでかい目を見開いて黒目をギラギラさせながら少し後ずさりした。するといきなりオレの頬を掴みぐにっとされた。
「おい、なにしやがる」
「えっ、ホンモノかなって…」
「はぁ?」
「だってけーくんあたしのこと嫌いでしょ?」
オレは返答の代わりにぎゅっと抱きしめ、いつも〇〇がしてくるよりも深いキスをした。舌と舌がぶつかり合い、ぬるぬるとした感触が伝わり初めての感触に驚いたのか目をぎゅーっと閉じ、オレの服を強く掴んだ。しばらく堪能した後、〇〇の顔を見ると赤らめながらもニコニコしていた。
「テレビで見た男の子と女の子みたい」
「…恋仲、なのかもな」
そう言うと一気に奴ははしゃぎ始め、それから出掛けるような準備を始めた。
「あのね!本当は今日けーくんとお外で遊びたかったの。お外真っ暗だけど今から遊びに行こうよ」
「はぁ、まぁいいぜ」
そう言ってアジトを出た。オレは〇〇に「ん。」と手を差し出すと〇〇はパーっと笑顔になり手を繋いで歩いた。結局奴は甘いものが好きなのでクレープを奢らされ目の前で平らげられた。オレは甘い者が嫌いで食べてるのを見るのも大嫌いだけどなんだか〇〇が幸せなら、いい気がしてきていた。