憧れ(傭兵)
「マルガレータはいいなぁ」
〇〇は彼女の細い腕や脚を一撫でし、呟く。
「〇〇...いきなりどうしたの?」
「ナワーブくんがさぁ〜」
昨日、お互い試合がなかったので久しぶりに二人でゆっくりしていた。ナワーブは携帯品であるグルカ軍刀を手入れして○○は彼のベッドに座り他愛のない話をいて幸せの一時を過ごしていたのだが手入れが終わったのか否、いきなり○○の腕や脚をぷにっと優しく揉み
「お前って意外と柔らかいってか、健康的?だよな...」
「...え?」
〇〇は雷を打たれたようなショックを受け、ナワーブにはちょっと申し訳ないが後ろで待てよ!どうしたんだよ?っていう彼を置いて何も言わず出てってしまった。確かに最近甘いものを食べすぎたのかも知れない...。エマちゃんのつくるクッキーが、と思ったけど人のせいにしてはいけないな。
「え〜んどうしたらマルガレータみたいな素敵な体になれるのかしらね!!」
「運動したらどうかしら?そうね、それこそ〇〇の彼に頼めば...」
「ダメ!!」
どうして?と彼女が聞くので説明した。だっていきなり細くなってびっくりさせたいし恥ずかしいんだもん!と。たとえば抱きしめられた時に『お前、こんなに細っこくなって大丈夫か?ちゃんと食べてるのか?』なんて言われて俺が守ってやんなきゃな...なんて思われたい。
「そうねーサベダーくんがダメならエリスくんに頼んでみたら?」
「うん!ありがとうそうする!」
〇〇はマルガレータに手を振り走り出した。ウィリアムなら多分この時間帯であれば試合が
終わっているはずだ。丁度ウィリアムの大きな背中が見えたので名前を呼ぶ
「〇〇?どうした」
「お願い!私を鍛えて!」
は?と首をかしげた。試合終わりの汗かいて疲れている彼に変なお願いをしてしまうのは少々申し訳ないが、これはどうしてものお願いなのだ。
「あのね、ナワーブくんが私のこと健康的とか、まぁ言ってしまうと遠まわしに肥えてるって言ってて恥ずかしくて...だからさ?」
「〇〇、お前なぁそんなことで」
ウィリアムは笑っていた
「前、あいつが言ってたんだけどな...お前の、」
「?」
「おい〇〇」
全ての原因の彼が来た。うぃ、うぃりあむ〜...と呼んで横を向けば彼は姿を消していた。は、はやい...。ナワーブは〇〇に近づき目だけをこっちに向けていた。やや冷やか。
「なに...?」
「ウィリアムと何話してたんだよ」
「別にナワーブくんには関係ないことだよ」
〇〇は去ろうとするとすかさず彼はガっと腕を掴んだ。離してよって抵抗しようとしたが彼の悲しい瞳が見えてできなかった。〇〇はナワーブの方へ振り返りきちんと話すことを決意した。
「ごめんねきちんと話すよ。私ね、ウィリアムにトレーニングつけてもらおうとしてたの」
「は...?」
「ほら昨日ナワーブくん私の体のこと健康的だか柔らかいみたいなこと言ってたじゃん。それが恥ずかしくてトレーニングつけてもらおうと思ってたんだ」
あ、あと昨日はいきなり出てってごめんって言いかけた瞬間、抱き寄せられる
「〇〇ごめんな。俺、傷つけようと言ったわけじゃなかったんだ。〇〇の白くて柔らかくて触ってて安心する体が好きなんだ...」
「えっ、そうだったの?」
誤解が解けて緊張の糸が切れた。昨日できなかったキスを軽くして抱き合う。
「じゃあもうウィリアムにトレーニング頼まないよな?」
「頼まないよ」
「あぁでもお前が痩せたいなら俺がトレーニングつけてやってもいいぜ」
「いやぁでも痩せなきゃやばいってとこまでいかないと思う!」
そう言って二人は笑っていたが三週間後、お菓子の食べ過ぎで健康的な域を超え、ナワーブ教官の苦しいトレーニングを受けることをまだ私は知らなかった。