葛藤(傭兵)
夜、目が覚めナワーブは水を飲みに行こうと部屋を出る。廊下を歩くと談話室の方から楽しそうな声が聞こえる。多分いつもの女子会だろう。最近入ってきたばかりの〇〇もいていつも以上に騒がしい。
「そういえばさ〜、〇〇は誰がかっこいいと思うのよ!」
「気になる気になる!!」
俺も気になる、と思わず足を止めてしまう。正直なところナワーブは〇〇に惹かれていた。〇〇は少し顔を赤らめ「えー、恥ずかしいよ〜」と言うが周りが「いいじゃん教えてよ〜!」と催促する。まぁどうせ俺ではない、仲のいいイライか、美形なイソップなんだろう。
「あのね...実はサベダーくんのこと...」
「え〜!?そうなの!なんでなんで??」
周りが一気に質問責めする。俺は一気に熱くなり動揺した。そしてチラッとマーサと目が合いニヤっとされ恥ずかしくて部屋に逃げように戻った。部屋に戻るが胸のドキドキが収まらない。
『これって両想いってやつ、なんだよな...』
俺と〇〇は仲が良かった。毎日話すし食事するときはいつも隣に座る。...しかしこれからどうすればいいのかわからないいきなり告白するのもなぁと気が引ける。葛藤が続き、その日の夜は一睡もできずに夜が明けた。
「おはようございます」
「よぉ、おは...よ」
「さ、サベダーくん隈が酷いよ。大丈夫...?」
気にすんな、とナワーブは早歩きで去る。〇〇はナワーブの腕を掴み、
「待ってよ!心配なの...」
「ほっとけよ!」
バシッと手を振りほどいた。そして今度こそはなにも言ってこなかった。
「あ〜〜〜〜クソッ!」
大っ嫌いな暗号機をいじりながらさっきの行動を反省する。そんな攻撃的なことをしたかった訳じゃないんだよ。しかも今日の試合全部負けっぱなし。どうしていいかなんてわからねぇよ、でもこのままじゃ嫌だ。と考えてると調整ミスをしてバチッと電流が流れる。
「貴方ねぇ、何やってるのよ」
「おわっ!?マーサ!」
「今日の朝の何よ」
マーサは暗号機をテキパキといじりながら話す。だが目つきはちょっと鋭い。
「昨日の夜、聞いたでしょ。恥ずかしいって気持ちもあるかも知れないけどあんな対応しなくてもいいじゃない。あの子すごい落ち込んでたわよ」
「....。」
「だからしっかり謝って、そんでもってサベダーも好きならあの子にキッパリ伝えてあげなさい!いいわね?」
「...おう!」
はい、あと手を止めない!!と背中に喝を入れられる。
それからの試合はいつもの調子を取り戻し全部勝った。〇〇は今日試合はないらしいのでさっそく部屋に向かう。
コンコン
ノックをするが返事がない。談話室にもキッチンにもいなかったはず、と窓をチラッと見ると庭に〇〇らしき人物が椅子に座っていた。思わず走り出し向かう
「〇〇!」
「サベダーくん...」
花をちぎっていた〇〇の手を俺は掴んだ。
「俺、お前が好きなんだ!あっ、あと今日の朝冷たくして悪かった!おれ、あとおれ昨日...」
「もういいよ」
ぎゅっとが〇〇抱き着く。
「昨日の夜のあたしが好きって言ったこと聞いてたのわかってたよ」
「えっそうだったのか?」
「うん。でもまさかサベダーくんもあたしのこと好きなんてうれしいよ。じゃあもう花占いはお終いね」
〇〇は花を投げ捨て泣きながら笑う。そんな〇〇の頭を撫で俺は幸せを噛みしめた。