二階堂兄弟と幸せ
私は見てしまったのだ。大好きだった幼馴染が遊郭に入って行くのを。結局は私の片想いだったのね。失恋は悲しい。やだやだと一人草むらでゴロゴロしていた。花占いなんて始めちゃったりして「昔はここであの人とよく追いかけっことかして遊んだなぁ」と思い出したり。
「「なにやってんだ?」」
「あっ」
最近仲良くなった双子の兵隊さん。二階堂の浩平くんと洋平くんがやってきた。二人とも同じ髪型と同じ顔と同じ服だからどっちがどっちだかわかってない。二人には申し訳ないと思う。
「んー、ちょっと考え事」
「どんな?」
「え....」
こんなこと話していいのかなぁ。私は寝そべっていた体を起こし、服に着いた土をほろった。急に黙り込んだ私の顔を浩平くんと洋平くんはじっと覗き込む二人とも目力あるから威圧がすごい。
「あのさ、男ってみんな遊郭とかって行くの...?」
「「は?」」
「えっ、いやぁ...」
浩平くんと洋平くんはぷっ、と顔を見合って馬鹿にするように笑った。そんなに私の質問おもしろかったかな。おもしろいなら何よりだよ、笑ってくれよ。ヒソヒソと浩平くんと洋平くんは話しては笑い話しては笑いを繰り返してる。私は二本目の花占いを始めようとしていた。
「なぁ〇〇さ、なんでそんなこと聞くんだ?」
「いや実は私の幼馴染が遊郭に入ってくの見ちゃって」
「衝撃受けた?」
「うん...。二人は行ったことあるの?」
「行ってたら嫌だ?」
「嫌かも知れない」
「じゃあ行ってないってことでいい」
なんだそれって私は吹きだした。浩平くんと洋平くんはなんとなく行かなそうな気もする。イメージ湧かないもん。それから三人でお団子を食べに行った。洋平くんが奢ってくれた。みたらし団子はやっぱりおいしい。
「ついてるぞ」
浩平くんが私の口元を指で触りみたらしをペロっと舐めた。ちょっとドキドキしてしまう。「ありがとう」と言うけど恥ずかしくて顔見れないや。そしていきなり洋平くんが私の手を触る。
「さっきの話なんだけど〇〇は幼馴染のこと好きだったのか?」
「うん、好きだったよ」
「俺と浩平の方が〇〇のこと幸せにできるよ」
「俺たち遊郭行かないから...」
そう言って浩平くんと洋平くんはまた笑う。ムード台無しだけどおもしろいから私も笑う。さっきの発言は冗談なのか本気かわかないよ。
「〇〇は俺たちの事好き?」
「一緒にいると楽しいから好きかな」
「じゃあずっと三人でいよう」
帰り際私のほっぺに口づけをした。多分洋平くん。いつも不健康なくらい肌の色が白いのになんだかほんのり赤いような気がする。もう片方のほっぺは多分浩平くんにキスされる。ずっと三人で甘く幸せに溺れていたい