K'と結婚ごっこ

私とK'はネスツが使ってた元基地に用事があり一緒に行った。色んなコードや何もするかわからない器具がいっぱい落ちていて不気味だった。薄暗くさびれた施設を歩くと窓から光が刺してあり、覗くと木がいっぱい生い茂り、廃墟がぽつりぽつりと建っていた。魔女が住んでいそうな森だなと思った。K'の方をチラリと見ると色々まだ用がある様子で忙しそうだったので私は床に体育座りして待った。私はK'に付いてきただけでここに用はないので酷く暇だった。

「けーくんまだ?」

「まだ来て10分くらいだろ」

「30分は経った」

ハァ?といつものように軽くあしらわれそれからK'は歩いて行ってしまった。K'のことは好きだけどついてこなきゃよかった、何もないしアジトでゴロゴロしたいと私は思った。私は図書室みたいないっぱい本がある部屋に入り、本を開いた。解剖学や人体改造のことがいっぱい書いてあって気持ち悪くなった。私は幼い頃からネスツで人体改造されていて全て出来上がった頃にはもう何も覚えてないし自分の出身地なんかもわからなかった。今もわからないけども。もっと普通の女の子になりたかったし、改造するならK'やクーラみたいに強化人間にして欲しかった。私は成長を止まらせられた改造人間だった。何も意味もないし永遠に大人になることのない生き地獄を味わっている。こんなこと今更考えても何もならないしケーキが食べたくなる。K'帰りに奢ってくれないかなぁ。

「おい、帰るぞ」

「うわぁ!」

いきなり後に現れてびっくりした。絶対ブラックアウトつかった。歩くのがだるかったので両手を上にあげるとK'は勘づいて私をお姫様抱っこしてくれた。めんどくせみたいな顔してるけどそんなこと言いつついつも私に優しいのは本当にうれしい。唯一元ネスツの改造人間でうれしかったのはK'に出会えたことだ。そのくらい私はK'のこと大好きだ。
しかしどこ歩いても木、木、木だ。2人とも方向音痴だったし来た道を忘れたので中々帰れずにいた。

「けーくんどうしよ」

「知らねぇよ。適当に歩いてたら帰れんだろ」

と言いつつも少し焦ってそうである。

突然ポツリポツリと雨が降ってきてざーーっと大降りの雨が降ってきた私達は傘を持っていなかったのでビショビショになってしまった。

「風邪引いたら困るしとりあえずどっかの建物の中入らない?」

「…そうだな」

私はK'から降りて手を繋いで走った。ボロボロな教会が目に入ったからそこ目掛けて走り中に入った。中は色々物が倒れていてほこりっぽく、ホラー映画にでも使われそうな雰囲気だった。

「ひとまずここにいようか」

私はリュックからなぜか入ってたタオルを出し濡れたK'を拭いた。

「お前まずは自分から拭けよ。体弱いんだから風邪引いたら困るだろ」

そう言って私からタオルを取り上げ頭をくしゃくしゃと拭かれた。慣れない手つきで不器用に拭かれてK'らしいなと思った。寒かったのでぴとっとくっつくと私の肩を抱きくっついてくれた。上着いるか?と聞かれたけど上着脱いだらけーくん上半身裸じゃん超寒いじゃんと思い遠慮した。

「けーくんいつか結婚するの?」

「いきなり何言ってんだ…」

ここが教会だからかつい口走ってしまった。強化人間だけどK'も一人の男。いつかは可愛いお嫁さんと結婚してアジトを出てくんだろう、それかお嫁さんとアジトに住むか。

「する時はくると思うぜ」

「だよね」

「それが今だったらどうする?」

K'は私の手を掴んで普通なら神父が立ってるところに連れてった。そして向かい合い、上着のチャックから銀の指輪を出し左の薬指にはめた。

「オレは〇〇を永遠に愛することを誓うぜ」

私は焦って下を向いていると

「なぁ、お前はどうなんだ?」

K'は余裕な顔でこっちを見る。私はうれしさとよくわかんなさで抱きついてしまった。

「私も一生愛す!結婚しようね!」

「マジでお前色気ねぇな」

「えっ、ごめん!」

そう言うと一瞬の隙にキスされた。びっくりして後ずさっていると

「今の誓のキスな」

とK'も照れていた。ずっと妹分としか思ってくれてないと思ったのにうれしかった。私達は雨が止んでもしばらく教会にいた。




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