リクエスト | ナノ


答えなんてもう出てる

小さな頃から傍にいるのが当たり前で、
そして同時にずっとずっと願っていた。
一番傍で、近くで、カルタを守りたいって。
たとえ火の中水の中、俺たち先祖返りが危険な6時以降の時間帯でも。
ただ守りたくて。でも、実際は、カルタに守られてばかりで。
悔しくて悔しくて。愛玩動物上等!!なんて言ってるけど、
本当はただ威勢を強く見せたいだけの意地で、自分でも分かってる。
あぁ、そうだよ俺は弱い。もう十分分かってる。分かってる。
でも、でも、


―――渡狸、なに深刻そうな顔してんの〜?


人が必死になって考えている最中にニヤニヤ笑いやがって…
あと、自分のほうが身長がでかいからって頭を撫でるな。
絶対抜かして、そのふざけたうさ耳を取ってやるよ。
そっからおまえの手の届かないところに置いてやるからな!
覚悟しとけよ残夏!


―――うわ〜渡狸こわ〜


こわいって言いながらニヤニヤ笑っても全然通じねぇよばーか。
あと、人の心視るなよ。


―――ボクだって好きなときにいつでも視えるわけじゃないよ〜?


はいはい知ってるよ。
残夏の目は肝心なときに見えないよな。


―――ごめんって〜


これで何回謝った?ほんと、おまえってお人好しだよなぁ。
指摘されたら照れるし、俺と一緒で全然素直じゃねーよな。


―――わーわーボクはなんにも視てないよ〜


うそつけ、バリバリ視えてんだろ。
隠したってすぐわかるぞ、そんなこと。
何年お前の傍にいると思ってんだよ。


―――さぁ〜?


俺も忘れたけど。


―――じゃあ話ふらないでよ〜


クスクスと笑いやがって。その笑い方も本当に変わんないよな。
出会ったときから、ずっとそんな笑い方だったよ。


―――え〜?そうだっけ〜?


あぁ、そうだ。その笑い方嫌いなんだよ、俺。
なんでそんな笑い方すんだよ、そんな貼り付けた満面の笑みを浮かべんの。


―――ヒミツ。


なんだよ教えろよ。しりたいじゃん。


―――渡狸には教えてやんないよ〜


ふーん。


―――うん。


俺、カルタが好きなんだよ。


―――いや、そんなの言われても。知ってるよ?


カルタがすきなんだ。


―――うん。


すきなんだ。


―――そう。だから、ボクに言われても困るってば〜


苦笑を浮かべて、彼は帰ってきた狐ヤローに抱き付きにいった。
…残夏、あのな、あれには続きがあるんだぜ。
でもなんでどうして、








きみを目で追ってしまうんでしょうか。