変わらない 「ぎゃあああああやめろぉおおおお!!」 「ふはは、悦いぞ悦いぞー!」 「かげたんったらドS☆」 「微笑ましい限りです。」 「見てないで助けろよぉおおお!!」 これは、1ページにも満たないボクのお話 今回は、かげたんとそーたんと渡狸と幼なじみとして転生した。何回目だろう。もう数えてもないや。繰り返して繰り返して、そこで見つけたものは「諦め」とか「運命を変えることの難しさ」とか。でも、今回もボクはこの記憶を生かして仲間を救いたい気持ちが残っていて。もしかしたら、これはただの綺麗事になるのかな。あ、また渡狸の叫び声。 「うわああああもうやめろぉおおおお!」 「はっはっは、おまえはわたしのどれいだからな!」 「どれい!?」 「そうだ!おまえはげぼくだ!」 「げぼく!?」 「ふはははははは!!さぁなきわめくがよい!!」 「ひっ、うわああああああ!!」 「青鬼院さま、楽しそうで何よりです。」 あーあ、かげたんったらまたやっちゃったよ。そーたんは見てるだけだし。でも今回のかげたんもそーたんも渡狸をかわいがってる。ボクはと言えば、正直なところ転生した渡狸に対してどう接していいか分からなくなっている。前はあんな人だったのに、とか考えだしたら止まらなくて。今となっても記憶の渡狸が忘れられなくて。 なんて考えていると、超本人が叫びながら空を舞って、手前に音をたてて転がってきた。 「渡狸大丈夫ー?」 「うぅ…だいじょうぶに、み、えるか…」 「みえない☆」 「だったらたすけろよ!?」 あはは、と声をあげて笑うと涙目の渡狸がまるで動物の威嚇のようにシャーッと唸った。うーん、ほんときみは変わんないね。言ったあとすぐに、自分の言葉にハッと気付く。 ―――あぁ、そうだった 彼はまるで変わらない。彼そのものは何も変わっちゃいないんだ。前の彼も今の彼も。確かに今の彼に対しての違和感は拭えない。でも、まぁ、 君は君のまんまだもんね。 残夏の唇が弧を描く。座っていた椅子から子供らしく勢いよく立ち上がって、地面にいた渡狸の尻尾を掴んで、宙へと投げた。 |