「意味、不明」
最近謎な事が多すぎる。
土方が笑ったりとか女の子に話しかけられたりとか、そういうの見るとイライラする。
私、こんなに土方の事嫌いだっけ?
「なまえー入るわよー」
「何?」
「牛乳なくなっちゃったの。買ってきてくれない?」
「ヤだよ」
「今お鍋から目を話せないの。好きなアイス買ってきていいから」
「……いく」
単純なヤツなんです。
私はお母さんから財布とメモを預かり(もはや牛乳だけじゃなかった)、外へ出た。
牛乳だけならコンビニへ行こうかと思っていたけど、バターとか買いてあるからコンビニより先のスーパーにいかなきゃいけない。
…なんか騙されてる気がする。
でも、アイスの誘惑には勝てない。
外にでてみると辺りはすっかり暗くて、大きな月が出ていた。
しばらく歩き、ちょうど、コンビニの前を通りかかった時だった。
前方から見えてくる人に、見覚えがあった。
「土、方…?」
「あ?」
そこにはジャージ姿で息を弾ませる土方の姿が。
「何してんの?」
「ランニング」
さすが、スポーツ人間はやることが違う。
しかも私が話しかけたせいでわざわざ止まらせてしまった。
その時、
「銀ちゃん!」
「おーお前ら何やってんだ」
そこにはコンビニからジャンプ片手に出てくる銀ちゃん。
確かここは、日曜日からジャンプ売っててどうこうって…いってたような…。
「じゃ、俺行くわ」
「おっ大串くんはランニングかあ偉い偉い」
土方は一言走っていった。空気よんだ、ナイス!
「そう銀ちゃん、今日月やばくない?綺麗じゃ、」
そういいながら私は顔を上へあげた。
さっき家を出るときにも見たけれど、あの時と違って銀ちゃんがいる。綺麗に見えるはず、
そう、
綺麗に見えるはずだった。
でも、それはいつもと、さっきと変わらない月で。
おかしい、私は銀ちゃんの事が好きなはずなのに、なんで?
だって確かにあの時みた夕日は、
そう、だ
あの時、夕日が綺麗と思った日、私の隣にいたのは銀ちゃんだけじゃない。
土方だ。
じゃあいままでイライラしてたのも全部……
そう思うと私は、いてもたってもいられなくなって、さっき土方が走って行った方へと走り出した。
「おい!みょうじ!」
後ろから聞こえる銀ちゃんの声なんて、もう気にしてる場合じゃなかった。
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