「ねー土方」
「なんだ?」
「土方は青春して……ないよね。ごめん、聞く相手間違えたわ」
「ああ!?バカにしてんのかお前!」
「じゃあ青春してんの?」
「……それは、」
「ほらね」
こんなマヨネーズバカに青春なんて出来るわけないよね、ぶっちゃけ。
「ていうか、何で急に青春の話なんだよ」
「青春しないと空色が分からないんだって」
「意味不明」
「うん、私も分かってない」
昨日した総悟との話を、私はまだ引きずってる。
本当の事を言うと、“青春”ってのを一回してみたかったりする。
だって、去年まで同じクラスだった友達から『クラス代わって、私は青春してるよ!なまえ
はどう?』とか言うメールが来たから。
なんだか自分だけが取り残されているような気分になった。
「お前が何を知りたいのかは分かんねぇが、青春したいなら部活とかでもいいんじゃねぇか
?」
「だめ、私部活で青春はもっと分からない」
「よくあんじゃねーか。あの夕日に向かって走れ!…みたいな」
「それって青春なのかな」
「辞書引け、辞書」
「土方ー」
「今度はなんだよ」
「辞書引いたんだ」
「そうか」
私は手に持った辞書に視点を落とす。
「えーっと、青春。」
「おう」
「夢や希望に満ち溢れた活力みなぎる若い時代を、人生の春に例えたもの。青年時代。」
「へェ」
「夢や希望だってさ」
「曖昧だな」
「ね」
夢や希望に満ち溢れたってなんだ。叶わない夢とか希望を手持ちぶさたにしても意味ないじ
ゃんか。
「ま、春が来たら青春って事だな」
「…どんな事があったら春?」
「新しい何かを見つけたときとかじゃねェか?目標とか」
「新しい何か、ねえ…」
何か色
まずは新しい何かを
探しましょうか
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