毎年の恒例にもなりつつある、こどもの日の鯉のぼり。もちろん屯所には子供なんて居ない。それでも毎年鯉のぼりをあげる近藤さんに何故かと聞くと、「トシの誕生日だからに決まっているだろう」と笑って肩を叩かれた。

正直俺は誕生日何てどうでもいい。別に祝って欲しいなんて言ってないし、年をとって嬉しいなんて思うはずもない。


「んな事やってる暇あんなら仕事しろよな」

「まあまあ、せっかくの祝日なんですから」


わーわー言いながら鯉のぼりをあげる隊士を見ながら呟くと、名前がへらへら笑いながら答えた。何もしてないくせに、仕事をしていないのは他のヤツらと一緒なようだ。


「ったく…何が楽しいんだか」

「土方さんおめっとーってことですよ多分、うん多分。あ、柏餅食べます?」

「いらねェ」


なんで当日になってからあげるんでしょーねとかいうもっともな意見をスルーして自室に帰る。

アイツらがやらない分の仕事は誰がやると思ってんだ。ざけんなよ。








そして夜

「「「おめでとーございまああぁぁぁあす!!」」」

騒がしい声と共に祝賀会と称した宴会が始まった。どさくさに紛れて「土方死ね」とか言った奴がいたから、どついてやった。

数時間経った今、近藤さんはいつものように服を脱ぎ捨てているし、総悟は未成年のくせに酒を飲んでいるしで、もはや悪ふざけだ。


「土方さーん」

「あぁ?」

「お酒。注ぎますよ」


そこにやってきたのが名前。たしかこいつは酒が飲めなかったはず。だから酔ってねェのか。


「相変わらずっすね」

「…あぁ」


あたりを見回すと酔いつぶれた隊士達。


「にしても今年もすごいですね。しばらくは困りませんよ」


そうつぶやく名前の視線の先には山のようなマヨネーズとタバコ。誕生日プレゼントだ何だで、アイツらが置いていったものだ。


「ちなみにあたしはコレ」


そう言うと名前はマヨネーズ型のライターを取り出した。しかも5個。


「油?っつーの?切れないかなーと思って」

「おう…さんきゅ」

「いーえ」


名前はんーっと言いながら伸びをすると眠いから寝ますと言って立ち上がった。


「土方さん、」

「あ?」


名前は俺の方をむいてしゃがみ込んだ。


「誕生日おめでとう

あと、

生まれてきてくれてありがとう」


照れながらもにっこり笑ってそういうアイツを俺はぎゅっと抱きしめた。





こどものひ
たまにはこんな誕生日も悪くねェな



(うっわ土方コノヤローきもちわりぃ…)
(沖田隊長、なんで写真撮ってるんですか)
(明日ばらまく)
(俺しーらね…)


20100505
はっぴーばーすでー!



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