今日は、フランと花火大会に来てまーす。

私は浴衣。
ちなみにこの日のために買った。

「気合い入りすぎじゃないですかー?」

とか余計なこと言ってきたあいつにも一発お見舞いして(←おいおい)、無理矢理浴衣を着せ
た。


あ、さすがにカエルは取ってもらったよ?

あんまり目立つのはちょっとね……

だって私達一応『暗殺部隊』だし?





フランは、出店や屋台が珍しいのか、あちこちをキョロキョロと見回している。


「フランー」


しーん…


おいおいおい!!


可愛い彼女が可愛く話しかけてんのにムシですか?!

確かに屋台いっぱいあるし。全部おもしろそうだし。そっち気になっちゃうのはムリないかもしんないけど?



ちょっと拗ねながらももう一度呼ぶ。



「ねーフランー。」

「…なんですかー」

「屋台おもしろい?」

「まぁまぁですー」

「そっか。」


うーん、何だよ。この興味なし感は!!
いつものことではあるけど…
彼女のこと無視したくせに!!
だったら屋台に興味深々とかそういう風な感じでいてくれないと。
私がいたたまれないじゃない!!



てか。
鼻緒痛くなってきた。下駄なんてめったに履かないからなぁ…


―ドーンッ


「あっ、花火…」

「あー本当ですねー。あ、リンゴ飴買ってきましたー。どうぞー」

「ん?あぁ、ありがと…」

気のせいかもしれないけど、さっきからフランが優しい。


もしかして、序盤に私を無視したことに対する罪滅ぼしのつもりか?!

なーんだ。
意外と可愛いとこあんじゃん。

だったら…



「あ、ねぇ、あっち行こうよー」

「嫌ですー」


は い い  ! ?

なんでだー
そこ拒否するか!?

普通この流れなら。
私の誘いにフランが応じてちょっと人気のないとこへ行く。→二人で花火を見る。→フランが謝って仲直り。(別にケンカしてた訳じゃないけど)
でしょーが!!

断るってどゆこと?!




「名前ー帰りますよ?」


まあ、序盤のことは水に流すとしても。
この期に及んで『帰る』かよ!!
 
「いや、花火始まったばっかりなんだけど?」

「もう見たからいいですー」
 
フランはそう言って私の手を握って、来た道を戻りだした。


何考えてんだか全然分かんないんですけど!!


 
 

「ねーえーフランー」

「………」

…無言。


「ねえったら!!」

「何ですかー?」

「なんで今日は無視ばっかなの?!」

「別にそんなつもりはありませんけどー」

「嘘!!…さっきから全然反応してくれないじゃん!!」

「そうですかねー」



もー!!
なんなのよ!!



…と急にフランが立ち止まって私を振り返った。


「どうしたの?」

「名前ー、鼻緒痛そうなんでー」

「え?」


おんぶ、された。




「あ………ありがと……」



ってか鼻緒痛いの気付いてたんだ。

フランは絶対気付かないと思ってた。




「鼻緒痛いってよく気付いたね。…フランてさ?普段人の事気にしないじゃん?」


「あーそうですねー。でも、名前の事はいつも見てますよー」

「……そ、そっか」

「はいー」



後ろから花火の音が聞こえる。


「あーあ、花火見たかったなー」

「仕方ないですよー名前足痛そうですしー」

「まぁねー…ごめんねーフラン。せっかく花火大会来たのにね」

「気にしないでくださいー」

「フランには絶対バレないと思ってたのにぃー」


「ミーだって……」


フランは私の方を見て言った。






「ミーだって、やるときはやりますよ?」





「…ミーが返事し損ねたんで、名前が拗ねちゃったのも気付いてましたー」

「じゃあなんで…」

「拗ねてる名前が可愛かったからです」

「もー。意味分かんないよ」



そんな理由かよ!!
ってか今一瞬。
Sの化身が見えた。


心の中でブツブツ言っていたのは事実。




でも。

―やるときはやりますよ?

こう言ったフランは最高にカッコよくって。


ドキドキしてたのも、事実。





(あーそーいえばー)
(何?)
(今日たくさん浴衣の人いましたけどー。名前が一番可愛かったですよー?)
(き、気合い入りすぎって言ってたじゃん!)
(そうやってやる気まんまんのとこが可愛いんですー)
(…あっそ)




2009... title:ひよこ屋




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