「ふぁああ…………」


大きなあくびを1つ。

夏休みが終わり2学期が始まって1週間以上経ったけど、相変わらずの夏バテ。
夏休みから睡眠時間のサイクルを戻せなくて、1日中眠い日が続いている。
そのお陰で1日中ボーッとしてる。
もう何にも頭に入らない。


てな事を考えながら机に突っ伏す私。


今は…3時間目が終わったとこ。

実は今週日直だから、黒板消さないといけない。


めんど、と呟き黒板の前に行き黒板消しを取る。
黒板には「9月9日」の文字が。


「そっかもう9日か……」


独り言を呟きながら黒板を消す。


…9月9日って何かあったような………
9月9日、9月9日…ゾロ目…じゃなくて。


黒板を消し終わり、席に戻り手帳を確認。


なんと。
9という数字の上からハートマークが。


……………何だ?


「……………あ。」


…隼人の誕生日だ。

彼氏の誕生日忘れるとか自分大丈夫かな…………

てか
どうしよー…


その時。


―キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴った。

チャイムKY過ぎるだろ。


授業中はずっと誕生日プレゼント買ってないやどうしようとかを考えていて、全く授業が耳に入らなかった。

もちろん、普段から耳に入ってる訳じゃないけれど。









なんだかんだいって昼休み。

いつもの様に、私は京子と花と、隼人はツナと山本とご飯を食べる。
まぁいつもと変わらない光景。
でも私にはちょっと焦りが。

2人に相談してみようかな……

「ねー私さー今さっき隼人の誕生日が今日って気付いたんだけどさ、」

「は!?あんた獄寺の彼女でしょ?彼氏の誕生日忘れてたの?」

「いやー…仕方ないよね、多分…………ね?京子」

「おめでとうとか言ったの?」

「いやまだ………」

「言ってきなよ!」

「…………でもさープレゼントもないし」

「いいのよ、プレゼントなんて。彼女からなら言葉だけでも嬉しいものなの!」

「んー…」

購買で買ったパック牛乳のストローを口にくわえて隼人の方を見る。
でも隼人はもういない。
多分、きっと、屋上。


さっきまではまぁなんとかなるかと思ってたけど、2人に話したらなんか本気でヤバい気がしてきた。


「………………行ってくる」









―ガラガラ

屋上に入る扉を開ける。

壁で身体を隠しながら屋上の死角になる場所を覗き込む。

案の定。

隼人はそこでタバコを吸っていた。

…どうしよう、マジどうしよう……

何をどう言おうかとオロオロしていると、


「おい」


と言う声が聞こえた。


「お前何やってんだよ」


…バレてかたか。


「いやー別に何にもー」


平然を装い隼人の方へ行く。


「…んだよ」


チッと舌打ちをして目をそらされた。

いつもなら照れんなよーとか言いながら隼人の方へいくけど、思いの外動揺している私はフリーズ。


「…名前?」

「…えっ?…あ、何?」

「お前…何かあったか?」


ちょっとビックリして隼人の方を見ると、ちょっと心配した顔。

いつもは見ない隼人の表情に不覚にもドキドキしてしまった。


「いや……何にもない」


そう呟いて隼人の隣に座る。


このまましらばっくれるのもいいかな、って思った。

でも、おめでとうの言葉さえないのは、さすがに酷い気がする。



「……ねぇ」

「なんだよ」

「あのね、」

「……」

「やっぱ何でもない」


いずれはバレるだろうけど、誕生日を忘れてたなんて思われたくない。


「お前さ、俺に何か隠してるだろ」

「…え?」

「ねぇのか?」

「…誕生日おめでとー」

「は?」

「だからー!おめでとうって言ってるの!それだけ!」


私はフッと顔を横にそらす。


「…そうか、9月9日か」

「……」

「忘れてた」

「…え?」

「今日…誕生日だったのか」


忘れてたのか。


言わなきゃ良かった!!←

、じゃなくて!


「ごめん、あのさ」

「あぁ?」

「そのー今日の今日まで忘れててね、んっと…」

「……」

「プレゼントとか…ないんだよね…ほっ、ホントごめんっ」



「いいんだよ」

「…え?」

「…ありがとな」


そういって隼人は、今までで一番の笑顔で私の頭を撫でてくれた。


「えっ?私隼人の彼女なんだよ!?」

「おぅ」

「誕生日忘れてたんだよ!?」

「覚えてたじゃねーか」

「…いや、でも」

「いいんだよ、それで」



いつもと違う隼人。

普段から大人っぽいけど、今日はもっと大人っぽい。



「……来年の誕生日は、」

「?」

「来年の誕生日は驚くようなプレゼントあげるからね!」





「…ダメだ」

「え?」





「来年だけじゃたんねーよ」




「……そうだね!来年も、再来年も渡さなきゃ、今年の分挽回できないね?」

「…おう」





プレゼントを忘れて、

誕生日を忘れて、

散々だったけど、


来年も、再来年も、



かけがえのない君に、



愛という名のプレゼントを。




20090910 title:ひよこ屋



1日遅れちゃったどハッピーバースデー!

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