今日はアレンと二人で花火大会に行く!





ハズだったのに…




張り切って、浴衣着たのに。
張り切って、いつもはしないメイクまでしたのに。






「なんで雨降るかな〜」



待ち合わせ場所で一人溜息。







「すみません、待ちました?」

「アレン!」




キャー!
アレンが浴衣!!
珍しい!
これは萌えr…(自粛)



でも…




「雨降っちゃったね。…楽しみにしてたのに」

「関係ありませんよ」

「え?関係ないってどゆこと?花火見に行こうって言ったのはアレンでしょ!」

「花火なんてどうでもいいんです」

「はいぃ?何言ってんの?!私はすんごく楽しみにしてたのに!
アレンにとっては、私と花火行くのなんかどーでもよかったってこと?!」

「違います!僕は…」

「もういい!私帰るね!」

「待ってくださ…」

「知らない!」




酷い。
盛り上がってたのは私だけだったってこと?
バカみたい…












走って行く彼女を追いかける。
浴衣だから上手く走れないようで、すぐ捕まえた。



「放してよ!」

「待って下さいと言ってるんです」


彼女の目には涙が浮かんでいて。
泣かしたのは自分だと分かって。
…激しい自責の念に襲われる。



「僕の話を聞いてください。
僕は貴女と会うことをどうでもいいとかそんな風に思ってたわけじゃないですよ?」

「でもさっき…」

「花火はあなたと会うための口実」

「口実?」

「…僕は、ただ貴女と会えればそれでよかったんです。だから花火は関係ないと…貴女を傷つけるつもりではなかった。すみません」

「……アレン」

「?」




「許してあげる!私もアレンと会えて嬉しいから!
……って何すんの?!濡れちゃうじゃn…」

「こっちの方がいいでしょ?」




彼女の傘を取ってしまい、彼女を自分の傘に入れる。
一瞬怒った顔になったけど、すぐ笑顔を見せてくれた。






「花火、また来年見に来ましょう」

「…雨が降ったら。またアレンの傘入れて?」






「喜んで」







たとえ雨が降っても。
あなたがそばにいるならきっと幸せ。



どうか雨よ、やまないで。



もう少しあなたと。






ひとつだけの傘のした…





2009... title:ひよこ屋




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