「…遊園地だと?」
「うん。新しくできたんだって!チケット貰ったから一緒に行かない?」



さっきたまたま遊園地のチケットを貰った。
んで、最近、任務でよく一緒になる神田を誘いに来たワケなんだけど…



「…やっぱ神田は行かないかな?」


神田の眉間にはシワが…
これは、機嫌が悪いのか?
くだらないことに誘って怒らせちゃったか?




「ごめん。くだらないよね?他をあたってみるわ」
「他?」
「うん。いつもお世話になってるアレン君とかを誘ってみようかな」
「…………」




ゃ、ヤバい。完全に怒らせちゃったよ。
さっきより眉間のシワが…
そういえば神田の前でアレン君の名前、禁句だったっけ?
どうしよう…



―「神田は気に入らないことがあるとすぐ斬りかかってきますからね」
「ユウはとっても気が短いんさ」
「単細胞なんですよ。いつも蕎麦ばっかり食べてますしパッツンですからね」
「いや、多分蕎麦もパッツンも関係ないさー」

…ヤバい。
私、斬られる?!
ここは…



うん。
とりあえず逃げよう。



「じ、じゃあそういうことで。ばいばーい」






ガシッ


は?






なんだこの状況。


神田ー、なにやってるのぉおおお?!
暑さに脳みそやられたか?!
なんか私、腕鷲掴みにされてるんですけど。





「か、神田?」




一向に放してくれる気配がない。
これはもしや、本当に斬られる?!





「…行くぞ」
「へ?」










という訳で私、今遊園地にいまーす☆
ちなみにwith神田。
さらに言わせてもらえば、まだ腕は鷲掴みされたまま。
さすがに痛いんですけど。




「あのー、神田?」
「…」
「私はいつになったら放していただけるのでしょーかね?」
「……」
「…えと、若干痛い」
「………悪い」
「いえいえ」


やっと解放された腕。
なんか痺れた感じがするのは気のせいじゃないと思う。

ってか。
なんだこの状況。
(本日2回目)





どういうつもりなんだろー、神田。
心なしかいつも以上に無口だ。
…て、遊園地来てなんで緊張してんだよ私。

全然まったく休めてねー。




まあいっか。




細かいことは気にせず遊ぶぞー!!





「神田、何乗る?」
「…くだらん」
「じゃあ何で来たの?」
「………」



また眉間にシワが…



「あ、じゃあ。あれ乗ろーよ」
「………」
「あれは嫌か…あっちのジェットコースターなんかどうかな?」
「………」
「あれもダメ?んじゃあそっちのミラーハウスは?」
「………」
「ダメ?じゃああれはど…」
「お前が好きなのに乗ってくればいい」
「神田は?」
「待っている」
「えー?!せっかく来たんだから一緒に乗ろーよ!あれなんかどう?室内みたいだからきっと涼しいよ?」




ヤベ…
シワがシワが…



「あ、どうしても嫌だったらいいや。一人で行ってくんね」




ガシッ


は?






「行くぞ」






また、ですか?






で、只今inお化け屋敷。


なのはいいんだけど…

何なんだだココ!
何なのこの怖さ!!
本格的すぎだって!!


職人さんいい仕事してるね〜。
じゃなくって!
マジ怖いんですけど。




「か、神田…ちょ…待って…」
「遅い」
「ご、ごめん」




神田はまったく怖くないのかスタスタ行ってしまう。
まったくもー。
少しは気ぃ遣え!
って…
あれ?



「か、神田〜?」




シーン…




は、はぐれたあああああああああ…





このお化け屋敷、そういえば迷路みたいになってるんだっけ…
出るのに最短でも1時間かかるんだっけ…

こういう時に限って余計な情報を思い出した。

んで、なんか嫌な汗ダラダラ出てきた。

私、今『世界一、鼓動が速い人』でギネ○ブック載れるんじゃね?!



とりあえず、
走ろう。





タタタタタタ…



ドテッ



「イタッ」




はい、順番に…
暗い中無闇に走った→つまづいて転んだ。
なんて惨め。
なんてバカ…




足痛い。
完全挫いたな。
だれか客来たら助けてもらおう。
神田には待っててもらうことになっちゃうけど…






ヒョイッ



え?





なんだ、この浮遊感?



顔をあげると。






「か、かか神田?!」



私、今、神田に、横抱きされてるよ。
これ、気のせいじゃない?
これ、またの名をお姫様抱っこと言うのでは?





「お、下ろして」
「…足、怪我してるだろ」
「で…でも、悪いよー!私なんかそこら辺に捨ててっていいからさー」
「………」


無言。
んでもって下ろしてくれる気配なし。




「あの」
「何だ?」
「助けてくれてありがとね」
「………るな」
「ん?」
「…勝手にいなくなるな」
「ご、ごめん」


これはもしや…




「あ、もしかして心配してくれた〜?」
「………違う」





今の間は何でしょう。

あなたの顔が赤いのは、気のせい?

私、自惚れちゃってもいいのかな?



「神田くーん」
「何だ?」
「これは期待しちゃってもいいのかな〜?」



半分、8割は冗談だったのに。




「…にしろ」
「あ、あの〜、今なんて?」
「勝手にしろ」
「マジ?」



2009...




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