「ねぇー退ー」
「ん?なに?」
「私もうちょっとデートとかしたいんだけど?」
「えっ、それは俺もしたいけどさぁ…」
「そうなんだよ。できないんだよねー…」
「うん…土曜日は名前ピアノだし。」
「日曜日は退が習い事。」
「平日は二人とも毎日部活だもんね…」
「…部活でミントンやってんだから習い事までする必要なくない?」
「習ってるのはカバティだよ。」
「そうだっけ?」
「そうだよ。」
「ねー!!ミントンとカバティと私と!!選んだらー?」
「え!?そ、そんな急に…」
「そこ悩むとこー?普通『君が一番だよ』とか言うでしょーに。」
「そう言ってほしかったの?」
「ううん…退にそんなキザなセリフは似合わないよ。ってか言われたらちょい引くわ。」
「それはそれでヒドくない?」
「そかなあ?…ってかね。私と過ごす時間削ってまでやってるミントンとカバティをそんなに簡単に切り捨てたら怒るから。だからさっきのは答えに悩んだので正解かな」
「そっか…名前は優しいね」
「さ、退も優しいよ。…って何言わせんの!!それにキザなセリフは退には似合わないって言ったばっかじゃん…」
「俺だってね…そういうこと言ってみたいときもあるの」
「…あっそ。じゃあ百万年に一回だけキザなセリフを吐くことを許可する」
「少なっ!」
「間違えた。一億年に一回だった」
「さらに少ないよ…そんなに似合わないかなあ…」
「似合わない」
「即答?!」
「…まあさ、ミントンとかカバティ辞めろとは言わないから。でももっと一緒にいたいんだ
…だから」
「だから?」
「これからも毎日一緒に帰ってよね!!」
「……じゃあ明日から手繋ごっか?」
「だ、だから公衆の面前でそういうことは…」
ギュッ
「ちょ…退…」
「この方が絶対いいって」
「…っ」
「ま、休日一緒に過ごせないのの埋め合わせってことで」
「…し…仕方ないからそれで納得するっ…ほ、ほら早く行くよ!!」
「はいはい」
真っ赤になりながら前を行く彼女。
でも僕の手をしっかり握ったまま。
休日一緒に過ごせないのはゴメン。
でもこうやって手を繋げるだけで僕は幸せ。
「こ…これからも一緒に帰ろうね?」
うん。
これが僕らの幸せ。
毎日一緒に帰ろう?
20090813 title:ひよこ屋
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