「……やべっ」
今日は、総悟とデート。
服は昨日からバッチリ決めてある。
あたし的にはかなり頑張った…はず。
ちなみに、待ち合わせは、12:00。
只今、11:59。
待ち合わせ場所まであと2駅。
多分、遅刻。
正直待ち合わせには1分たりとも遅れたくない。
なんでかって?
前30分くらい遅刻したとき(遅れすぎ?)1日中ヒドい目にあったから。
Sにも程があるだろって思った。
その時2度と遅刻はしないって誓った。
……まぁ結局今遅刻してるから誓いの意味ないんだけどさ。
そしてなんとか駅から道に迷わず待ち合わせ場所に到着。
12:05になっちゃってるけど気にしない。
でも、肝心の総悟はまだきてない。
…総悟も遅刻?
「…セーフ!」
あたしがガッツポーズを決めようとした瞬間、後ろから目隠しをされた。
「何がセーフなんでィ」
「あ…これはこれは総悟君。いつからここに?」
「15分ぐらい前」
「15分…?」
「ほんとは待つの10分ですんだはずなのにねィ」
「…あ、そうですね。あの、とりあえず手を離して頂いてもよろしいですかね?」
すると総悟は案外素直に手を離してくれた。
そういえば、総悟の私服を見たのは久しぶりかも。
最近試験多かったしなぁ…。
そういえば試験の結果やばかったなぁ…。
「俺は試験の結果良かったけどねィ」
「人の心読まないでください」
「で、なんで遅刻したんでィ」
「寝坊ですね、えぇ。」
「なんで寝坊したんでィ」
「昨日寝れませんでした」
「なんで寝れなかったんでィ」
「明日デートだ…!みたいな感じで興奮してました」
「遠足前の小学生かィ名前は」
「でさ、総悟はなんで10分前に来てんのさ」
「マナーでさァ」
「デートが楽しみすぎて早く来ちゃったとかじゃないの?」
「…………」
「図星かい総悟君?可愛いねぇ」
「…うるせェよ」
やばいな、総悟可愛いな。
まぁ可愛いなんてあんまり言うと拗ねるから(経験済み)黙ってよう。
「…さて、行きますかィ」
「ん?」
「何でィ」
「遅刻してんのに何にも言わないの?」
「さっき言った」
「えーでも前ん時はさー…」
「遅刻した時間によって何をするか違うんでィ」
「え?」
「…だから、」
―ギュッ
「今日はこの手、離してやんねー」
「……じゃあ絶対離さないでね?」
「もちろんでさァ」
そう言って笑う総悟の顔は、いつもよりずっと、優しい顔だった。
30分は遅れすぎもしんないけどさ。
………次も、5分遅れて行こうかな?
20090825 title:ひよこ屋
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