『今日は午後から雨になるでしょう。お出掛けの際は傘をお持ち下さい。』
笑顔でそう告げる花野アナを見て、私はんな訳ないだろ、と呟いた。
だって今日晴れてる。
雲ひとつない。
今日は1日巡回だから、そんな面倒くさい予報は聞きたくない。
ていうか私何も聞いてない。
…そんな事をして現実逃避をした今日の午前。
でも、テレビで嘘を言う訳も無く、
結果雨になってしまった。
傘いらないんですかィ、というドSバカの言葉をめんどくさいからいらない、という言葉で片付けてきた私は、当然雨を防ぐ道具なんて持っていない。
必然的に、濡れる運命。
できれば濡れたくない。
でも早く帰りたい。
これは…
走るしかない!
そして、無事屯所に着いた私はと言うと勿論ずぶ濡れ。
「…花野アナのせいで」
「おまえが傘もっていかねーのが悪いんだろ」
私の八つ当たりに、バスタオルを持った土方さんが反応する。
何かと思うと土方さんはおもむろに私にバスタオルを投げつけた。
「早く拭け風邪ひくぞ」
「何でバスタオル持ってるんですか」
「総悟に名前が傘忘れたって聞いて持ってきた」
「…別に忘れた訳じゃないけどね」
「あぁ?」
私のタメ口に反応した土方さんを華麗にスルーした私は、バスタオルを片手に屯所に上がろうとした。
でもそれは、土方さんの手で阻まれてしまった。
「とりあえず髪ぐらい拭け」
「すぐお風呂入るんでいいです」
「それじゃ床が濡れるだろうが」
そう言った土方さんは私の右手からバスタオルを奪い取り、私の頭に乗せてガシガシこすった。
「…もうちょっと優しくでしませんか」
「文句言うな」
そういいながらも、土方さんはちゃんと拭いてくれた。
突然の雨とバスタオル
(次も天気予報を)
(無視すると決めました)
20100106編集 title:ひよこ屋
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