企画 | ナノ


ぎし、とベッドが鳴った。



「え、…?」
「…なまえ」

やけに胸が騒ぐ。ぐるぐると熱が回るような。まあ、風邪なんて引いたことねえが。
驚いているなまえの両手を縫い付けると、不安そうに瞳が揺れた。ああ、喰いてえ、な。


「なあ、…してえ」
「……!」


びくり、なまえが震えた。
この体勢だ、何のことを言ってるかくらい分かるだろ。
自分でも分かるぎらついた眼差しに、なまえが可哀想な程真っ青になった。俺の相手をすればどうなるかなんざ体験済みだ、無理もねえが――生憎、俺も引けねえ。


「あ、ぁ…しずおさん、待って…!」
「―――…」


潤み出した瞳。明らかな怯えの色に、ぞくり、と快感。
好きな子ほどいじめたいとは良く言うが、なまえには加虐心を刺激されて堪らない。喰いたい。喰いたい。壊した、い。
首を振るなまえの耳元に唇を寄せる。


「…悪い。我慢出来ねえ」
「や…やあっ…!」



いただきます。









「ん、んう、んー…っ!」
「…は…」


繋がったまま、息継ぎが上手くないのを分かった上の深いキス。かたく閉じた瞼の、長い睫毛が肌をくすぐった。
両手はまだ拘束している。白い手がひくひくと痙攣し出した頃、唇を離してやる。


「っ…は、はあっ、あ…っきゃああっ!?」
「っ、足り、ね…」


荒い息も無視して熱を捩じ込んだ。細い肢体が跳ねる。

――まだだ、まだ。

足りない。足りない。足りない。
まだ、足りない。
ぱたぱた、なまえの涙が散った。整わない呼吸を必死に繰り返す。
俺の相手をすれば、いつだってなまえはこうやって泣いて鳴いて啼いて、最後は落ちる。
でも、どうしても、足りねえ。獣にでもなっちまったみたいにどうしようもなく欲情して、止まらない。


「ひや、あ!やっ、もう、いや…!やぁんっ!」
「…悪ぃな、なまえ…っ」
「あ……!」


喉が反る。いくつも印が付けられた―まあ俺が付けたんだが―そこに、またひとつ、赤。俺のもの。

「…なまえ、好き、だ、好き…」
「ん…ゃ、う…」

耳になまえの甘い声。酔いそうになる快感。また、ぞくり。


足りない。もっと、なまえが欲しい。
どうか飢えを癒して。いじめちまうかもしれねえけど、だってそれは仕方ないよな?











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