企画 | ナノ


「………は?」


間抜けな声が出た。それもそうだ、いきなり後ろ手に手錠なんて掛けられて驚かない奴はいない。
倒されたベッドの上で、にこりとなまえが微笑んだ。


「……何、これ」
「言ったでしょ? 私、上がいいって」
「いや、別になまえが乗ってくれたって構わないけど」
「ふふ。やだなあ、何言ってるの臨也」
「――――ッ!?」


臨也が、入れられる方だよ。
告げられた言葉に全身の血が下がった。暗い、それでいて獰猛な光が、愉しそうに細められた目に宿った。
クスクス笑いながら、なまえがベルトに手をかける。
――嘘、だろ…ッ!


「…待っ…冗談じゃない!」
「私ね、優位に立ってないと、嫌なの。でも臨也って、すっごく偉そうじゃない?」
「ふざけッ……ぅあ!?」
「……だからね、やられる前にやっちゃおうと思って」
「…っ!……くそ…っ!」


覚えてろよ…!
ぼたぼたローションが垂らされて、思わずビクリと身体が跳ねる。
舌なめずりをするなまえの纏う空気が冷えていく。白い指が滑らかに動き始めるのが、僅かに見える。と同時に体内に進入してきた異物に、俺は悲鳴を上げた。


「ひいっ!?」
「あ、可愛いね」
「いっ…やだ、いやだ…!ぃ…っ抜け、よ…ッ!」
「いや」
「ぁ…ああぁ…っ」


気持ち悪い気持ち悪い、気持ち悪い。細い指がなかで動く度にぞわぞわと背筋が震える。くそ、こんなの、俺が、俺がこんな…っ!
暴れようとする脚を押さえ付けながらなまえが笑った。
…ヤバい。
探るように動いていた指が、ぐんっと一点を押し上げて―


「…ッひ、ぃあ゛ああぁあっ!?」
「ね、ここ、きもちいいでしょ?」
「いっ、やあぁあっ、あ、あ…ッ!!」


びくびく勝手に跳ねる身体。目の前が真っ白に染まるくらいの快感にただ喘いで、羞恥と混乱から涙が零れた。
――なに、これ…やだ、やだ…!!
なおもぐりぐりと力を入れてくる指に頭の芯は焼き切れそうになって、情けない声ばかりが上がっていく。気持ち良さそうだね、なまえが言う。
――きもち、いい…?


「ちが、ちがう…!やめ、なまえっ、ぁ…っ!!」
「…嘘つき」
「ひっ!」
「きもちいいんでしょう?ねえ?」


ほら。性器を握り込まれて声が上擦った。立ち上がったそれが、涙で滲んだ視界に入って愕然とする。


「ぁ…あ……っちが、ちがう、うそだ、あう…!!いやだ、いや…っ!」
「いーけないんだ、臨也くん。きもちいいくせに」
「放せ…!放せよ、っひああぁっ!! ――――っ!!」
「そんな口、きけなくしてあげる」
「…ひ…っ! ……いぁ…!」


ひどく楽しそうななまえの声が脳内に響いて。抵抗する間もなく、なかの指が強くそこを抉って――


「――や、ゃああぁあああッ!!」


これ以上逃げようのない快感を叩き込まれて、白濁を散らした。
ぼろぼろ泣き出す俺の上で、なまえが柔らかく微笑んだ。


「……良かったでしょ?」




(不思議と、否定の言葉は出なかった)







30000ヒットリクエスト企画
すうさまリクエスト「折原でヒロイン攻め」


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -