企画 | ナノ


「平和島さん、平和島さん」


朝ですよー、
ベッドの脇に座り込んで声を掛けるけれど、平和島さんの目は覚めない。目覚ましは私の一日の始まりの仕事。

(疲れてるのかな)

疲れてるなら、寝てても…。…だ、だめだめ、そんなのだめ!平和島さんの役に立たなきゃいけないんですから…!ちゃんと起こさないと!
…あ、あと5分くらい、したら…。


「………ん」
「!」


平和島さんの目が薄く開く。
眠そうに瞬きを数回。
良かった、起きてくれた…!


「……なまえ…?」
「平和島さん、朝ですよ」
「…今、何時だ?」
「えと、7時で…ひゃあっ!」
「あー……まだ、平気だな…寝るぞ」
「ね、ね…寝るって…!」


伸びてきた手が私の頭を掴んで、ぼすっとシーツへ沈める。
へ、平和島さん、寝ぼけて、ていうかひゃああ近い、近いです…!
金髪が眩しい。真っ赤になる顔を見て、平和島さんが笑う。おでこを合わせるような格好のまま、私は動けない。


「へ、平和島さ…!」
「……ありがとな、なまえ」
「へ?あ、う、はい…っ」
「ん、………」
「…………平和島さん?」
「…………」


あああ寝ちゃった…!
恥ずかしさから頭に乗った手を退けようとすると、平和島さんの寝顔が目に入る。

(……やっぱり、疲れてるのかな)

……起こしちゃう、かな。
恥ずかしいけれど何だか悪い気がして、頭の手はそのままに、おとなしくベッドに落ち着く。
平和島さんの寝息だけが聞こえる部屋。

(…あったかい…)

手が乗ったままだと、頭を撫でられている気分になる。初めて平和島さんにしてもらってから、撫でてもらうのが好きになった。誰にも言っていない、私だけのひみつ。

撫でてもらうのが好きだなんて、動物みたいだけれど。それでも、役に立てるのは嬉しい。褒められるのは、もっと嬉しい。
…せ、折角だし、しばらく撫でられてる気分に浸っても、いい、かも…。


「……えへへ」


へにゃん、こらえきれずに笑みがこぼれる。
い、今だけ、今だけ…!平和島さんに、だらしないところなんて見せられないんだから!
今日は、良いことありそうだなあ…!


「…平和島さん、平和島さん」



私、平和島さんに選んでもらえて、とっても幸せです。




(あー…よく寝た……、…随分近いな)
(だ、だって、平和島さんが!)






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