企画 | ナノ


「あは…ねえ、なまえ、苦しい? 苦しい…?」

「ん…っ、んう、ぅ…」


噛ませた白い布越しに、鼻にかかったあまい声。僅かに覗く鋭い牙をそっと撫でる。可愛らしい、吸血鬼の証。
辛いですよねえ、縛られて、そのまま。
ひく、と小さく鳴った喉を撫でて、首筋にキス。涙の溜まった瞳が、必死に私を見つめる。
…いくら泣いたって、だあめ。


「んふ、そんなうるうるした目で見たって、許してあげませんよう?」

「ん、んー…っ!」


だって、なまえがいけないの。
臨也に触られるなんて悪い子は、お仕置きしなきゃ駄目なんだから!


「なまえは、私のものなんですから。ね…?」

「っ、ん、んぅ……っ」


ぽろぽろ流れる涙を拭う。赤く染まった目元がとっても可愛くて、思わず笑みが浮かぶ。肌を撫でる、それだけの刺激にもびくびく反応が返ってきて、涙に沈んだ瞳の奥に熱が宿る。
暴れられないように、お薬いっぱい使いましたから。きもちよくて、何にも考えられないでしょう?


「…だあい好き。だから、いっぱい泣いてくださいね…」


噛ませた布をゆっくり外す。やっぱり、なまえの声が聞けないのなんて、つまんない!
解放された唇が浅い呼吸を繰り返した。
ね、呼んで、呼んで?
はやくはやくはやく、「甘楽ちゃん」って、呼んで…?


「…ひく…か、んら、ちゃ…甘楽ちゃん…っ、ごめん、なさい……ごめんなさい…!」

「…あはっ…!」

「やっ、! あ…っ!」


可愛い可愛い可愛い、かわいいっ!
ぎゅうっと抱き締めれば高く声をあげて、びくん、と大きく跳ねる。やっぱりなまえは私のもの!
邪魔なんかさせない。許さない。どこにも行っちゃだめっ!

私はなまえさえいればいいの!なまえだって、私以外はいらないですよねえ?

色付いて濡れた唇をなぞって。とろとろに溶けた瞳を覗き込んで、囁く。


「んふ…なまえ、お腹、空いたでしょう?」

「っ…ふあ、…」

「私の血、好きですよね…?」

「ん…好き、すきい…っ」


おねがい、ください…っ
蕩ける声。ちゅう、ちゅっ、私の指に拙く舌を這わせて、なまえがねだった。
もう長い間飲んでませんもんね、そろそろ限界だったのかなあ?
ずうっと私の血しかあげてないから、なまえはもう私のしか飲まないんです。臨也なんかが、勝てるはず無いの!
愛してる、愛してる、愛してる――


「なまえ。私以外、見ないでね?」

「ん…甘楽ちゃん、すき…っ」


終わったら、またいじめてあげる。お仕置きは、まだ続いてるんですから!

皮膚を貫く痛みに笑って、白い首筋に赤をひとつ、落とした。










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