企画 | ナノ


「やっ、あ…っ!」
「…はっ…」


熱い。
びくびくと跳ねる肢体を見下ろす。呼び出したなまえを無理矢理組み敷いてから、どれほど時間が経っただろう。眩む視界、煩い鼓動は紛れもなく自身のもの。際限なく巡る熱と欲。ああ、これが、媚薬の効果か。
なまえの濡れた瞳が臨也を映す。白い喉が、小さく鳴った。

――じり、
胸の内が焦げるような感覚に眉を寄せた。


「…っもう…や、っ…」
「……黙れ」
「ひあっ!?ゃ、ゃう、ぅ…!」

拒絶の言葉を無視して突き上げる。悲鳴を上げたなまえの眼からぼろぼろ涙が零れた。暴力的に与えられる快楽は、少女には明らかに重すぎる。それでも、臨也は押さえ付ける腕を離さない。
じりじり。胸を焦がす感情に促されるように、なまえの耳に唇を寄せて、囁く。


「…なまえさ、知ってるだろ?俺が、人を、愛してるって」
「っ…ん、う…!」
「人っていうのは、変わるものだ。考え方も、性格も、恋愛感情だって、さ」
「や、……いざ、や、さ…」
「でも」


「君に、そんな権利なんて認めてやらない」


「ひ…っ!!」


無防備に晒された首筋に思い切り噛み付いた。ぎりぎりと食い込む歯の痛みになまえが硬直する。触れた唇に感じる脈動。

じりじり、じりじり。この感情の名前を、臨也は知っている。


「…っ、」


――「不安」?
――「焦燥」?


「……馬鹿馬鹿しい…!」
「や…っゃあ、あ…!!」


押さえ付けた身体が大きく震えた。抵抗も出来ないなまえを拘束する力を強め、無意識の内に奥歯を噛んだ。熱はまだ、引かない。

――不安? 俺が?
少女が、自分から離れていくかもしれない。
この拘束を止めたら、居なくなってしまう気がして。


「……認めない。認めてなんかやらない」
「ふ、あ…っ」
「…俺から離れるなんて、許さない…!」


呟いた言葉は、なまえには聞こえていない。
薬のせいだ。この行動も、言葉も、何もかも。
自白剤代わりに呷った、媚薬の。

――馬鹿馬鹿しい。
不安も焦燥も。何よりも――薬を使わなければ何も言えない自分が、一番。


「……なまえ。俺が、好きだよね?」
「…いざ…ん、う…!」


答えが紡がれる前に、唇を塞いだ。


(馬鹿らしい一人芝居)






20000ヒットリクエスト企画
りささまリクエスト「媚薬を飲んだ折原が彼女を犯す」


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -