企画 | ナノ


「……わかった。それじゃ」


短いやり取りの後、通話が終了する。
同時に耳元で小さく吐き出された吐息に、臨也は笑った。


「……大分慣れてきたんじゃない?」
「………っ」


臨也に抱き着くような格好の少女―なまえが震える。通話時、命じられた内容はなまえの羞恥心を煽るものだったが、従わない訳にはいかなかった。
臨也は、紛れもなくなまえの主人なのだ。


「まあ…慣れてもらわないと困る。君は、俺のものなんだから」
「ひ、っあ…」


細い肩を掴む。ビクリと怯えたなまえの顔を覗き込んだ。見開かれた眼が揺れている。綺麗な笑みを浮かべたまま、臨也はゆっくりと、舐るように言葉を紡いでいく。


「ねえなまえ、俺が怖い?」
「っ!」
「…君は賢いよ。そこら辺の人間よりずっと、ね」
「ぁ…」


肩を掴んだ手に力を込める。なまえの体がまた震えた。凍りついたように臨也を見つめているなまえの目の前で、綺麗な笑みがだんだんと歪んでいく。


「でもさ。主人を怖がる所有物なんて聞いたことある?実に変な話だろ?なあ?」
「……!」
「なまえ、俺は人間を愛してる。……愛してるのは、人間だけだよ」
「!!」


最高に凶悪な笑みを張りつけて、身動きひとつ取れなくなったなまえの耳に唇を寄せる。顔色を無くしたなまえがか細い声を上げた。


「い…いや、いや…!ごめんなさい、捨てないでっ…お願い…!」
「…クハッ、そうだよねえ!本当、賢くて助かるよ」
「………ひう…ッ」
「ああ、楽しいなあ…」


微かな泣き声。黒髪を優しく撫でながら呟く。賢い奴を苛めるのは、実に楽しい。


「……さて、仕事だ」


ぱちん。
臨也の手の中、青白いイルミネーションが、まるで泣いているように瞬いた。










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莱桜さまリクエスト「携帯擬人化臨也Ver.の続き」


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