企画 | ナノ


「なまえはうさみみとねこみみどっちが似合うかなあって、それで来ました!」
「どっちも似合わないと思うの…」


両手に可愛らしい耳のついたカチューシャを持って笑う甘楽ちゃんに、私はぐったりと返事をした。そんなことないですよう、ね、着けてみて下さい?そう首を傾げられてもなあ…。
きらきらしている甘楽ちゃんに困り果てていると、愉しそうな声がかかる。

「俺は猫だと思うなあ」
「い、臨也さんは何しに来たんですかあ!」
「いやあ、楽しそうだったからつい」
「帰って下さいよう…!」

ソファに座る臨也さんは、長い足を優雅に組んでこちらを見下ろしている。人の家ですよ!私のお家なんですよ!
この2人に関わると録なことにならない、それは重々承知だけれど、2人の方からどんどん関わってくるものだからタチが悪い。どうしたって、私には避けようが無いのです。
今日だってそう。扉を開けたら同じ顔がにっこり笑って並んでいて、私は思わず悲鳴を上げてしまった。それで2人して乗り込んできて、挙げ句うさみみかねこみみかだなんて!

「え、と…甘楽ちゃんが、着けたらいいんじゃないかな…?そっちの方が、可愛いと思うよ?」
「駄目です!なまえじゃないと、意味無いんですから!はい、じゃあねこみみから着けましょう」
「うー…」
「わあ、やっぱり可愛い!」

あうう、私じゃなきゃ駄目なんて、こんなときに言われさえしなきゃ嬉しかったのに…!ぐずる私をよそに、カチューシャを装着させた甘楽ちゃんは嬉しそうに声を上げる。大人しくしていれば早めに帰ってもらえるかな、なんて考えた、その時。

「ほら、俺の言った通りだったでしょ?よく似合ってるねえ。…おや?こんなところに丁度よく首輪が!俺びっくり」
「…ぅえっ!?くび…!?」
「あ、それ、いいですねえ」
「…う、うそだあ!臨也さん、最初から…っ!」
「嫌だなあ、たまたま首輪がポケットに入ってただけだよ?ままあることじゃないか」

ないよ!
意地悪そうに笑う臨也さんが、じりじりと近寄ってくる。にやにや、その顔最初から企んでた顔でしょう!
逃げようとした瞬間に横から甘楽ちゃんに抱きつかれてしまって、それも叶わない。

「か、か…甘楽ちゃん、離して…!首輪なんて、やだよ!」
「まあまあ」
「まあまあじゃなくて!」
「ほら、じっとしなよ」
「……ひ、ゃ…」

綺麗な同じ顔が息がかかるほど近くて、恥ずかしくてぎゅうっと目を瞑る。首に冷たいものが巻かれて、きゅ、と締まる。
声が近い。

「はい終わり。似合ってる似合ってる」
「なまえ、すっごく可愛いですよう?このまま飼いたいなあ!」
「……もう好きにしてー…」

人権を無視し続ける甘楽ちゃんが、私を抱く腕に力を込める。どうしたってこの2人には敵わない。
私に出来るのは、ただただ、早く帰って下さい、と祈ることだけなのだった。



(また来るよ)
(また来ます!)
(もう来ないでください!)






10000ヒットリクエスト企画
(*´ω`*)さまリクエスト「うざかわいい甘楽とうざい臨也が主人公を振り回す話」


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -