企画 | ナノ


新しい携帯を手に入れた。



「ああっ!平和島さん、そっちじゃないです!」
「…あ?」
「ひいっ!え、えと…あの、黄色い看板ありますよね、その下の道を通ればいいんです…!」


なまえが泣きそうになる。そんなに怖いか、俺は。怖がりながらもしっかりと道を教えてくれるあたりは流石だ。
なまえを怖がらせるつもりはちっとも無い、むしろ大事にしているつもりだが、いまいち伝わらないらしい。


「……?平和島さん?」
「…いや、何でもねえ」


再び歩き出す。先導するなまえの髪が揺れる。
怖がらせないためにはどうしたらいいだろう。何かあげるか?いや、やるにしても、女子が好みそうなものが思い浮かばない。女子が好きなもの…………幽?いやいや違うだろ。確かに双子なんかは好きだし女子にも人気はあるが、根本的に…ケーキ…とかか?プリン?

考え事をしていると、先導していたなまえがいつの間にか隣に並んでいた。そろそろと視線が上がる。どうやら、俺の顔色を窺っているらしい。…ああ、怒ってると思ってんのか。
何と言おうか言葉を選んでいると、先になまえが口を開いた。


「…あの、平和島さん……ごめんなさい…」


ぽつ、と一言。力なく項垂れて、なまえが言う。


「………」
「わ、わたし、平和島さんの役に立つためにいるのに、上手く、できなくて…ごめんなさ」
「なまえ」
「へっ?あ、はい…!」


謝罪の言葉を遮る。驚いて顔を上げたなまえの頭に、ぽん、と手を置いた。そのまま、ゆっくり撫でてやる。
困惑しているらしく、なまえの体は強張っている。


「えっ、え、平和島さ…」
「怒ってねえよ」
「え…?」
「当たり前だろうが。大事なパートナーなんだからな」
「……!」
「なまえは良くやってくれてる。さっきだって、道教えてくれたろ?俺の役には、ちゃんと立ってんだよ」


撫でる手を止めると、なまえの顔が真っ赤なのに気付いた。そして俺も急に恥ずかしくなる、おい今何言った俺。柄じゃないとはこの事だ。
照れくささで視線をそっぽへ向ける。


「……とにかくだ。これからもよろしく頼むぞ、なまえ」
「………はいっ!」


元気良く返事して、なまえは花のように笑った。











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