小説 | ナノ
「あ、ゃっ、まって…!」
「…む」
キスを寸止め。ひでェなあなまえちゃん!
押し付けられた手のひら越しになまえちゃんを見る。
細い身体を挟むように手はついているから、まあ、しようと思えばいくらでも出来るんだけどな?
「…待ってって、どんくらい?」
「ひゃっ!ゃ、う、…だめ、だめ…っ」
手のひらが俺の声で震えて、なまえちゃんが手を放した。俺の視線から逃げるように真っ赤な顔を俯かせて、ひたすら「だめ」を繰り返す。いつまでも初なんだよなあこれが、チクショウ可愛い!
だけどアレだ、最近身に染みて良ーく解るんだけどな…可愛いと、やっぱり、いじめたくなっちまうんだよなあ。
「どうしても?」
「…だ…だめっ…」
「…それじゃ、キス以外なら、してもイイ?」
「へ…? っひあぁっ!?」
ぱくん、なまえちゃんの人差し指をくわえる。女の子って指まで柔らけェなあ。
ぞろりと舌で舐め上げると、びくびくとなまえちゃんの身体が跳ねた。真っ赤な顔が更に赤くなる。
知らなかったろ?人差し指、意外と敏感なんだぜ、人間って。
「っやだ、や、や…っ!」
「…ん」
「ひっ! …ゃ…! …っ……!」
制止も聞かずに舌を絡める。声抑えようとするなんて逆効果だって、ソレも知らねェだろ?
弱々しく抵抗するなまえちゃんと目が合った。潤んだ瞳と、俺の――自分でも分かるくらい欲を湛えた瞳が。
「…ひ…ぁ……っ!」
なまえちゃんの肩が大きく震える。力を失ってへたり込みそうになるのを抱き抱えながら、最後に人差し指にキス。
呼吸も荒いなまえちゃんに、ニヤリと笑って問い掛ける。
「……キスがヤだったら、こっちにするかい?」
「…さ…サンジくん、の、ばか…っ!」
はは、睨んだって恐くねえよ。男はみんな狼なんだぜ?
狼には「待て」なんて通用しないんだ。学習、した?
あまがみ
(おとなしくたべられてね)