小説 | ナノ


「サンジくん!そこをどきたまえ!」
「…お?」


何やら真剣な声に振り返ると、これまた真剣な顔のなまえちゃんがいた。今日も可愛いな!


「どうかしたかい、なまえちゃん」
「どうも…しない、けど、あの、えっと、とにかくどきたまえ!」


まあ、言わなくても分かると思うが。なまえちゃんは嘘をつくのが下手だ。ものすごーく下手だ。目なんか、すぐに下を向いちまうし。
にやり。知らず知らず笑みが浮かんでしまう。
可愛い彼女だから、たまーにいじめたくなっちゃうの。オトコなら分かるだろ?


「キッチン、使うのか?でもなあ、俺今お仕事中なんだよ…せめて、用件だけでも教えてくれなきゃ」
「……あうう」
「…俺にも言えないこと?危ないことは、ダメだろ?」
「あ…危なくないよ!チョコ、作るだけ…あ!」
「チョコ、な」


にやにや。可愛いなあなまえちゃん!
しまった、と慌てて口を塞いでももう遅い、なるほどね、チョコ。
そう言えば、もうすぐバレンタインデーか。


「ちが、ちがうよ!チョコなんて作んないよ!サンジくんのばかばか!」
「はは、痛ェ痛ェ」


顔を真っ赤にしてぽかぽか殴ってくる。うわー、ほんと、もう。
これだったらでれでれしても何も言われねェよなあ、だってほら、こんなに可愛いなまえちゃんがいけないんだし。
屈んでおでこにキス、なまえちゃんの手が止まる。


「チョコ、俺にもくれる?」
「意地悪するから、あげない…!」
「…くれねえの?」
「う…あげないもん!あげないもん!さ、サンジくん、なんか…」
「俺なんか?」
「…………き、きら……嫌いじゃない!好き!ばかー!」
「俺も好きー!」


ぎゅううっと抱きついてぐりぐり頭を押し付けてきた。ちくしょう可愛い!可愛いって何回言ってんだ俺、でも可愛い!
そうだな、俺もチョコ作って渡そう。愛情込めた美味いやつ!


ハッピーバレンタイン!
(イチャイチャすな!)
(うおっナミさん!?)


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