小説 | ナノ


「……っ、ふ…」

なかをずりずりと押し上げて侵入する異物の感触には、まだ慣れない。慣れてはいけない。
熱で朦朧とする意識でそれだけ考えて、門田は必死で声を殺す。

そんな小さな抵抗を嘲笑うように、白い指先が胸元から臍まで下りて、びくりと身体が跳ねる。
見下ろす少女―なまえが楽しそうに笑った。

「京平。慣れた?」
「………、…!」

きもちわるい、否定の意を込めて首を降る。それを見たなまえは尚更楽しそうに、笑みを深める。
毎日毎日、手段を変え、なまえは門田を染め上げていた。今門田を苛む行為、所謂玩具の挿入は、四日ほど前から始まったものだ。
くすり。なまえの氷のような微笑み。

「でも、楽にはいるようになったね?今日の目標は…とりあえず、後ろだけでイってみましょう」
「っ!?ま、なまえ…!」
「待たない」
「!く、ぅん…ッ!」

信じられない言葉を発した後、制止の声も聞かず、なまえの手が動く。途端に始まった振動に、門田は小さく鳴いた。可愛いね、犬みたい。なまえが言う。
中途半端に脱がされた服が邪魔だ。ぐちぐちと、玩具が動かされる。駄目だ、このままじゃ―

「ひ、ぅあっ!!」
「あ…此処?」
「……や、め…―――〜〜!!」

先端部が一点を突いて、抑えていた声が漏れる。しかもそのまま玩具を押し付けられて、身体が大きく震えた。
あんな声はもう出したくなくて、堪えようと下腹に力を籠めて、結果強く玩具を締め付けて、固く瞑った眼からぼろぼろ涙が零れた。
しなやかな身体を折り曲げ、なまえが耳元で低く囁く。

「今の京平、遊馬崎くん達が見たらびっくりするよ?こんなおもちゃできもちよくなって泣いちゃうなんて、ね?」
「っ、…ちが、う…っ!」
「ふふ。ちがうの?きもちよくない?…じゃあ、これ、なあに?」
「ふ、あ…!」

つ、と性器を撫でられて声が上擦る。立ち上がったそれを門田に知らせるように、なまえが続ける。

「私、全然触ってないのにな…」
「あ…、う」
「ほんとに、後ろだけできもちよくなっちゃったんだ…?」
「――――!」
「…京平の、えっち」
「いっ、うああっ!」

びりっ、と腰が痺れてまた眼が潤む。門田はこの声が苦手だった。
囁かれると、腰辺りからじわじわと痺れが広がる。脳内から犯されるような感覚。こんなのは俺じゃない、溶けていく意識に言い聞かせても、もう遅かった。

「なまえ、ぃや、だ、いやだあ…っ!」
「可愛い、京平」
「ひっ…っ!ふ、あああ!」

真っ白になった頭には快感しか残らない。未だ振動を続ける玩具を突き入れられて、門田はほぼ触れられていない性器から白濁を飛ばした。
ぱたぱたと腹部に散る白。

「―はあっ、は、…は……っ」
「ね、出来たでしょう?」

頑張ったね、京平。
とろける甘い声、可愛い可愛い『こいびと』にキス。


「明日は、何しようか…?」



飼育日記


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