小さいころは今よりずっと体が軽くて、少しくらいなら飛べる気すらしていた。年をとる度、大きくなる度、自分の体が重くなっていくことに気付いていた。骨の中に何か知らないものが詰まっていくみたいに。
「…シア?」
ゆっくりした声でメリユが俺の名前を呼ぶ。とろんとした、淡い砂糖水のような声。
「なあに、考えてるの?」
彼女はいつも俺よりぼんやりしているのに、どうしてこんなに鋭いのだろう。少し眠たいのか、目を擦っている。
「よく分かんない」
素直に答えてみるとそうなの、とあっさりメリユは引き下がったので少しびっくりした。何か聞かれるかもしれないと思っていたから。
「…おひるね、しよう?」
眠そうに欠伸を一つしてころんとメリユは俺の隣に寝転んだ。自分もぽてんと倒れこんでそのまま静かに目を閉じる。今日の昼寝はきっと、夢を見ないだろうと変な確信をして。

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