06.

この騒動の間に全員メンバーが揃っていたらしい。

集会が始まったので私は大人しくマスターのお手伝いでもしていましょうかね。

『ねぇ、マスター』

「ん?なんだい?」

仕事をしていた手を止めてマスターに話し掛けた。
怒られないのだから良いということだろう。

『男ってさ、どうしていつの代でも喧嘩すんだろーね』

自分の事を棚に上げての質問になってしまったが、実際気になっていた事なので仕方がない。

「そうだねぇ…守る為じゃないかな。皆理由なんて違うと思うけど、結局は何かを貫いてると思う」

『守る…ねぇ』

そんなにボロボロになってまで守り抜かなきゃならないものなんてあるのか??

「うん。プライドの為に喧嘩してるのかもしれないし、恋人、仲間とか大切に思ってる人の為に喧嘩してるのかもしれない。まぁ、理屈でどうこう出来ないヤロー同士が衝突した時に拳で語り合うカタチになるんだろうけど」

要は馬鹿なんだよね、知ってる。

『あはは、そうだね。兄ちゃんもさ、一体何考えて武装作ったんだろうとか一回考えたことがあったんだけどね。あの馬鹿の考える事って私には到底理解できないだろうなって思って考えるのやめちゃった。でも今日武装の面子に会ってみてわかったのは兄ちゃんは間違ってなかったってことかな』

「そうだね。恵三君は私に大きな宝をプレゼントしてくれたよ。客足は減ったけど。」

結構良い所だったと思うのだけど。

どぎついよマスター。
上げて落とす所熟知してるだろ、絶対。


『その分私がタダ働きしてんじゃん!』

激しく侵害である。

「そうだねごめんよ。それじゃあ残りの仕事終わらせちゃおうか。」

そういえば残っていたね仕事。
そのまま忘れててくれればよかったのに。

現実は甘くないか。


“それともう一つ…”マスターは少し言いづらそうに言った。

「あのこと十三君達はともかく、好誠君は知ってるのかい?」

ああ、兄ちゃんが鈴木恵三ってことでしょ??

『知らないはずだよ?言ってないし』

なら、いい。といつもの笑顔に戻った。

別にばれて困る様な事ではないけれど、今は言う時じゃない。

なんとなくそんな気がした。





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