24.
数分して控え目に扉が開いた。
そこにはさっきのヤスさんとヒロミさんに呼ばれたであろう少年5人組と杉原さんが居た。
あなたいつまで煙草買いに行ってるんですか。
「お、七緒じゃねーか。久しぶりだな」
『誠さん久しぶりです!!また髪の毛伸ばさないんですか?』
「誰が伸ばすか。あんときはまだ若気の盛りで済んだが、今やったら只の馬鹿じゃねーか」
『…私三つ網弄るのが一種の日課になってたのに』
「知るか」
『伊崎さんにがっつり放置されたくせに』
「黙れ七緒」
なんだよ事実じゃない。
「あのーお取り込み忠悪いんスけど、俺等何で呼ばれたんすか?」
「こいつ紹介しようと思ってよ。鈴木七緒ってーんだ」
『鈴木七緒です。七緒で良いから、よろしくね』
ヒロミさんに一通り紹介してもらって自己紹介終了。
そして現在雑談ターイム。
「あ、そうだマコ。こいつ鳳仙に入ったんだってよ」
「…は?あそこって男子校じゃねーのか?」
『んなわけないじゃないですか。確かに私しか女子いなかったりしますけど』
「だろーなー」
「まぁ頑張れよ―」
「なんでそんな当たり前みたいな反応なんスか?!!!!仮にもこいつ女ですよ?!!!」
仮にも言うなよ軍司。
「だって七緒だから」
「そうそう」
これですべて済まされるよな。
なんか不服なんだけど。
「お前大丈夫なんか?」
『え?何が?』
「色々だ、色々」
『うーん竜也がなんかあったら後始末しといてくれるし…特に別段困ったことはないよ』
あたしが殴った馬鹿共の後処理とかー??
「七緒!!竜也って美藤のことか?!」
『うっさ………う、うん。そだけどなんかまずった?』
「俺等一応鳳仙と戦争したのは知ってるよな?」
『…………それいつ頃?』
やばい、そんなの知らない。
「去年の夏の終わりくれーか?」
『夏の終わり……うーん。あ、うちの学校の男子共逆タイタニックした時期か。そういえば傷だらけの竜也に会ったかも』
「要するに、知らねーんだな?」
『うん』
……
「あああああ!!!お、思い出した!!」
「マサうるせぇ。一体なんだってんだ」
「秀吉!!こいつだよ加地屋中の女番長!高校生とガチ喧嘩して相手武器持ちだったのに倒して自分は無傷だったってやつ。それこいつ!!」
「あー…こいつね」
『マサ!!何故それを知っている!!あんたら確か京華中って伺ったけど』
「お前がそれやらかしたの中部地区だぞ?知らねーわけねーだろ」
『あ、しくった』
「ってことは、近隣の女子中学生に強姦しようとした男子生徒をパンツ一丁にしてそのまま逆タイタニック吊りで屋上からぶら下げて撮った画像ばらまいたのもお前か」
『だから何で知ってんの?』
「俺井田中だったからよ、うちにも画像送られてきたし。」
『確かに送ったわ』
「……まさかとは思うがやーさんと問題起こしてリアル鬼ごっこやってたのもお前か?」
『この際隠すのも面倒だから言うけどそれも私だよ』
「俺の後輩が見たそうなんだがよ…相手ドス持ってたって」
全「「「「「……笑えねぇ」」」」
最終的に逃げ切ったんだから問題ないと思うんだけどね。
『つーか何で私の事知ってんの?!住んでるとこバラバラでしょーが!!』
「お前が問題起こし過ぎなんだよっ!!!」
「祖も前にお前はなんてことしてんだよι」
『え、全部私悪くないし。マサが言ってたやつはうちの妹分が高校生5人組に絡まれて抵抗したら殴られたとかでその仕返しに殴りに行っただけ。米崎の言ってたやつはあれの首謀者がうちの学校の奴だったから再起不能にしただけ。軍司の言ったやつは私に絡んできたからフルボッコにしたら後日お礼参りに来ただけだし。結果、私は悪くねぇ』
全「「「……」」」
みなさん呆れてものも言えないようですね。
当り前か。
「お前…なんでそれで鳳仙なんか入ったし、さらに伝説増やす気か?!」
『そんなつもりはなかったんだけどね。理由は竜也に薦められたからなんだけどね』
実際そうだし。
「……因みに美藤と七緒の関係は」
『兄弟分ですが何か?』
「「「「はい?」」」」
今までの経緯と共に話してあげた。
私って超親切で優しいよね。
「ククッ、お前らしーっちゃお前らしいよな」
「素直に馬鹿って言ってやれ」
『断じて違う』
「お前生まれてくる性別間違ったんじゃねーか?」
『断じて違……わないかもしれない』
「そこは否定しとけ」
否定出来ないって。
私だってその位十分に理解してるわ。
「俺は同姓じゃなくてめちゃくちゃ安心してるけどな」
「俺もだ」
「ガハハッ、同姓だったら是非お前と手合わせしてーとこだ」
『別に良いけど、多分手加減しないから一瞬で色々と終わるよ?』
「???手加減なんてしなくて良いd…「やめとけ。見てるこっちが死ぬからっ!!」…?」
マサの頭の中でどんな結論に達したかはあえて言わないでおこう(多分当たってるし)。
知らなければいい事も世の中にはいっぱいあるものね。
「…はぁ。つーかお前ここに居ていいのかよ」
『え?良いんじゃね?…あ。良くない言ってきてなかったから大変良くない』
“じゃあ、また来るから!!”と、叫んで帰って行った。
その時全員が“もう来るな”と思ったのはきっと七緒には伝わってないだろう。
→
[ 25/27 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]