52.


「ところで涼風、その。あれだ」

結局タコさんは貰ってあとついでに卵焼きも貰って(奪って)文字通り休憩しているわけだが、さっきから真太郎の挙動不審が酷い。

あれだ。とか言われても私わかりませんけど。

『なんだよ真太郎、はっきり言いなさいよ。っていうかおかず奪ったの気にしてるんだったら謝らないからね』


「そんな事じゃないのだよ、でも謝るかお礼は言うべきだ」

ごもっともだね、言いませんけど。

「俺が言いたいのは………はぁ、黄瀬の事だ」

言い淀んでいたのはそういうことか。

その件はとっくにカタが付いたので別に問題ないのだけど。

ってあれ??私真太郎に報告したっけ???てか合宿帰って来てから誰とも会話してないような……。

『涼太??それはもう終わったよ』

「は?」

『やっぱり言ってなかった??』

「聞いてないのだよ」

言ってなかったみたいです。


仕方がないので合宿が始まったあたりから現在までの報告をしましたともさ。

後で征十郎と敦にもしなきゃだよな……面倒だ。


何か聞きたそうだった高尾君と先輩方にはわかりやすく手短に真太郎に説明させたけど。

「とりあえずよかったな涼風」

『ありがとー真太郎』

「親が妙に黄瀬に肩入れしていた理由はこれか」

『そうなんです??由美子さんには気にしないでって言ってあったのに』

どうやら信介君は知らなかったようだ。
由美子さんに“少し私を気にかけ過ぎだ”と言えば“私は皆にこうなのよー”とか言っていたのに。

まったく、良い人過ぎで騙されないか心配になるね。







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