02.


入学式の後教室へ移動して担任が来るまでの待ち時間は一種の自己紹介タイムである。

「黄瀬さん。新入生代表の言葉凄かったねっ!!!あ、私雨宮琴音って言うの。名前で呼んでほしいな、よろしくね」

『ありがとう、ちゃんと言えていたか心配だったのよ。私は黄瀬涼風、琴音ちゃんだね。よろしく』


中学を卒業すると同時に引っ越したので厚化粧もぶりっこも今はもうする必要すらない。
だからなのか今回は無事友人が出来そうである。

友人の件に関してはもう心配の必要はないかな……??

「うちは柳沢蘭っていうの。よろしくね」

彼女は琴音ちゃんの中学時代の友人であるようだ。
なんでも同じ学校を受験しようと二人で頑張ったのだとか。

少々羨ましいと思ってしまった。


私も秀徳行けばよかったかしら………。

「よーしお前等席着け。担任の瀬川だ、よろしくな。」

担任の先生が来たので二人は席に戻った。
それにしてもこの先生どっかで見たこと………バスケ部の顧問か。

そりゃあ見たことあるわけだ。
一応中学生がマネ手伝いやるってことで挨拶に行ったのだから。

「それじゃあ名前の若い方から自己紹介しろー」

去年は征十郎からだったなぁ、なぁんて。

私はあいつ等の居ない学校をわざわざ選んだというのに。
何を引きずっているのだろう。

自分で決めたのに何故か心に蟠りがある様な気がする。
この気持ちを誰かわかりやすい言葉で表現してほしい。

「次、黄瀬ー」

『はい。黄瀬涼風です、特技は剣道で趣味は読書、ぜひ仲良くしてください――』






[ 3/65 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]