33.

あまりに寝られないので少し頭を冷やそうと合宿所の風当たりの良い場所を探し歩いていると前方から歩いてくる涼太と遭遇した。

『「あ、」』

『ね、寝られないの??』

「そうっス。……そっちも???」

『うん……』

『「…………」』

寝られない理由は多分私と同じはずだ。

そしてお互い気不味い雰囲気が流れる。


こういう時に限って原先輩とか瀬戸先輩とか救世主真君とか居ないんだもん。

私にどうしろと言うのだ、エスケープ位しか使ったことないのに。

「あの、“涼風は謝らなくていい、許す気はないから”って言ってたけど、都合のいい話だけど。どうしたら普通の関係になれるっスか?ちゃんと涼風の事わかって、今のままじゃいけないってわかって………でも、俺が何言っても偽善でしかなくって。散々涼風の事傷付けてきたのに今更何ができるんだって後悔ばっかして……どうしたらいいのかよくわかんなくって……」

ちゃんとした会話にすらなっていなくて正直聞いていられない。

涼太だって急にあんなこと言われて戸惑っているのだ。

今まで信じてきたものがボロボロ零れ去って、途方に暮れているのだ。


『はぁ……とりあえずさ。涼太は私とどうなりたいの??私と前みたいに嫌い合ったままが良いと言うならそうすればいいs…「違うっ!!!俺はっ!!!!……ご、ごめんっス」……いいよ。でも、廊下で立話もあれだから座って話そうか』


涼太に前みたいな関係に戻りたい、と言われれば私は戻るつもりだった。
……私も大概人任せだな。


でもまさか涼太が否定するなんて。

予想外の答え過ぎて私がパニクっている。






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