25.


『涼太、別に私の事は嫌いでも良いけどカレーに罪はなくない???私達の為に犠牲になった食材様達に謝れこの不届き者が』

「事の元凶が何言ってんだよ。お前が作ったもんなんか食べたくないっスよ」

『だったら残せよ、うちのブラックホール瀬戸先輩が責任持って食べたのに』

“ちょっと待て、俺もう食べられねぇけど”とか聞こえたけど無視。
私知ってるんだからな、今日の鬼ごっこ途中からサボって木の上で寝てたの。


「つーか存在が目障りなんだよ!!!やっと中学卒業して離れたと思ったのに!!!まだ親の脛かじってんだろ、うちの恥晒しがのうのうと生きてんじゃねぇよ!!!!咲子の事だってお前がいなければっ!!!!」

プチン
多分私の血管切れたわ。ブチって言ったものブチって。

『言いたいことはそれだけか黄瀬涼太。だったら私も言わせてもらうよ、丁度溜まってたし』

涼太が“やべぇ”って顔しているけどもう遅いわ。

私の気持ちなんて知らないで仲のいい三人家族やってきたお前が私を語るな。

『あんたに何が分かるの?!小さい頃から剣道で優勝しても“おめでと”だけで、涼太が何か賞取れば御馳走にお祭り騒ぎにそれがどれだけ惨めだったかあんたわかんないでしょ!!!涼太は知らないだろうけど私も全中3連覇してるんだよね剣道の個人の部で、団体は二連覇だけど。あーごめん私の部活すら知らなかったよね。お母さんに一応報告はしてたんだけどそんな話題出ないでしょ??あの人達の私の認識なんてそんなもんだから。あと外泊の事も知りたがってたよね、あれだって家に居たくないからだし。初めは家に帰って来なくなったら流石に心配するだろうと思っての行為だったけど“御迷惑にならないようにね”しか書いてないメール見て無駄だって気付いたわ。あんたが外泊する時に色々聞かれるのはそんだけ心配されての事だよ!!』

「涼風、もういい。もういいから涙拭け」

泣いていたようである。
気付かなかったわ。


今まで怒っていた涼太も今では落ち着いたようだ、というか私の豹変っぷりに驚いているみたいだ。

「……言っておくが涼風は下宿費も学費も自分で稼いでるし両親に借りていた下宿先の頭金もほとんど貯まってる。こいつは脛どころかもう黄瀬家に頼らないで生きてんだよバァカ」

「そーそー。バイトの入ってない日を部活にあててくれてんのだって有難いしね――」

「バイトの日もドリンクとかの用意はして帰ってくれるしな」

原先輩と古橋先輩は真君に加勢してくれて、山崎先輩と瀬戸先輩は私の側に居てくれた。

先輩達の優しさで私の涙止まらないのですが。







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