10.


「おい、黄瀬涼風」

理不尽暴言騒動から……廊下でばったり夕月さんと会いました。

『何?夕月さん』

そして呼び止められたというね。
暴言再来??強襲???

「この前はすまなかった……助けてくれたのに。本当にありがとう」

腹を括っていただけに拍子抜けだった。
え、そんなこと言いに来たのこの子。
実は良い子なんじゃないだろうか?

『別に良いのよ、ちょっとお節介だったかなとは思ったけど』

「そんなことないっ!!あの時はなんにも信じられなくて……」

『気にしないで。私自身気にしてないから』

「そうはいかない」

私が良いと言っているのだからそれでいいじゃない、ねぇ。

『それじゃあ私と友達になってくれる??そしたら許してあげる』

「………っ!!!!うん!!!!」

ああ、この子の救いになれたらいいな。
私にも人の事を気にかける余裕が出来たみたいだ。

中学時代に比べて少しは成長したのかなぁ……。






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