道化師とピエロ [ 2/49 ]

帝光中に通い始めて早くも三年目である。
今日も俺の周りは騒がしい。

適当に「〜っスよ」とか付けて手を振っていれば良いだけだが三年も続けているとそろそろ面倒になってきた。

って言うか疲れた。


“あーだるいな”と、窓に目を向けるとあいつが登校してくるのが見えた。

あいつというのは俺の双子の片割れだ。

……最も片割れだなんて微塵も思っていないのだけど。見た目も全く似てないし。

例えば、厚化粧であることとか顔自体可愛くないとか、ぶりっこであるとか。

気に入らない部分をあげればいくらでも出てくることだろう。

流石に本人に言うなんてことはしないけれど俺も両親も涼風の事を“黄瀬家の恥晒し”だと思っている。


知らない方が良い事もあるとはまさにこのことなのだろう。
でも、あいつも言われたって仕方ないんじゃないだろうか。

実際中学生にして外泊の数が多いし、寧ろ家にいる方が少ないのではと思う位だ。
……何故両親がそれを許可しているのかもわからない。

自分が外泊するだけで大騒ぎするあの両親が。


とにかく今日もあの金髪ぶりっこと同じ教室で授業を受けるのかと思うだけで気が滅入る。


幸い自分の隣の席は愛しの彼女で左側は壁、前後ろを青峰っちと黒子っちに囲まれた閉鎖空間なのでそこは良しとしようか。

『真太郎ぉ――おはよぉ』

「ああ、おはよう涼風」

あいつが教室に入ってきたようだ。

あいつの席は緑間っちの隣である。

毎度気になっているが何故か緑間っちや赤司っちと一緒に行動していることが多い。

二人共ぶりっことか一番嫌いそうなタイプなのに……側に置いているのが不思議でたまらない。
考えられるとしたらあいつが頭だけは良いということなのかもしれないけど。
うちの学校のテストの上位3位は毎度三人が占拠している。


ちなみに俺は勉強が苦手だ。
点数はあいつと天と地ほど差があると言っても過言ではない。

別にそれ以外の才能をすべて奪って生まれてきてしまったのだから悔しいとかはないけれど……

テスト前とかに俺が必死こいて勉強してるのに勉強してる素振りのないあいつを見ると“楽してんじゃねーぞくそ”とは思う。それ位仕方ないだろう。


なんてぼーっとしながら考えているうちにHRが始まっていた。





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