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怖い怖い怖い。僕は彼女が、黄瀬涼風が怖い。

皆、表で噂はしないが(信憑性はない為二人の耳に入っては彼女がどうなるかわからないから)“本当は涼風が別れさせたのではないか”と、その話題で持ちきりである。


今日たまたま聞く機会があったので確かめてみようと接触した。

初めは優しく接していた、でもあまりにとぼけた態度だったからついつい八つ当たりしてしまったのだ。
その瞬間涼風さんの目が歪に歪んだように見えた。

その目がすごく怖くて怖気づいてしまった。
その間に自分に二人を別れさせてなんのメリットがあるかについて、理屈の通った説明をわかりやすく諭されたのだった。


“っていうかキセキのプレイが嫌だからってバスケ部辞めたのに未だにキセキと仲良くしてる黒子君の方が涼風はわからないかなぁ??”

図星を付かれたようだった。


そうだ。どうして僕は彼等と一緒に居るんだろうか。

彼等のバスケは嫌いだが友達としては嫌いじゃない??

自分はなんて都合の良い人間なのだろう。
涼風さんの事を言えただろうか。


僕が放心状態で立ち尽くしている間に涼風さんは出て行ってしまったようだ。



この日、僕は彼等キセキの世代の前から姿を消すことに決めた。





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