教室に着いてすぐ担任っぽい人が入ってきたので一旦梓から解放された。

梓の席は私の隣で現在も熱烈な視線を送ってきやがるが。

あれ????解放されてなかった!!
まぁ黙っているだけましかもしれない。
というかなんでこんなに疲れてるのよ私。
今日入学式だよね???あれ?


担任(山本)の話は“学園生活において改”みたいなものだと思うので多分聞いていなくて大丈夫。勿論違ったとしても聞くつもりはないが。


(不本意ながら)視線にも慣れ本格的に暇になったので森山梓についての情報を改めて整理していきたいと思う。


森山梓とは。
まず海常高校バスケ部の森山由孝の妹である。
森山兄の説明は割愛させてもらおう。


私は東京の帝光中、梓は神奈川の海南中だった。
そして共にバスケ部でありお互いにバスケ部主将という立場で学校自体のレベルも共に全国区であった。
とりあえず私と梓の接点は結構あるのだ。


だから初めて出会ったのも練習試合でである。

“はじめまして、練習試合でお世話になる帝光中の部長の宮地清子です。よろしく”

これは中二の部長に就任したばかりの話だ。
部長として初めての練習試合であり、少しばかり緊張していたのを覚えている。

新部長の顔合わせも兼ねての挨拶だったのだが、何故か返ってくるはずの相手部長からの返答がなかった。
緊張していたし何か余計な事を言ってしまったのではないかと少々心配になったのだが……

“可愛いっ!!私とお付き合いを前提に結婚してくれませんか?!!”

初対面の奴に抱きつかれた。


第一印象は言わずもがな何こいつ、である。
私の心配返せよ。てか結婚は最終段階だ、逆。しねぇけど。


その後は副部長にシバかれていたがなんでこいつが部長だったのか今でもわからない。


その練習試合後も勿論試合では会うし時々スポーツ店でも会うし最終的に高校IHの会場でも会った。

これはもう運命なんじゃないか、と兄妹揃って言って来た日にはもういっそ殺してやろうかとすら思った。


そんな梓だが少しだけ弁解してやるとバスケだけは私も尊敬している。

兄妹揃ってSGで兄直伝だか何だか知らないが謎のフォームで打つシュート率は半端ない。
フォームは謎だが。

実力は主将と言われて納得するレベルなのにな……。
本当に残念な兄妹である。

「それじゃあ次、宮地さんどうぞ」

いつの間にか担任の話から自己紹介に変わっていたようである。

一時森山梓考察は休止といこうか。


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