「清子!!海常いこっ!!!」
『唐突だなオイ』
校外学習後に休みがあると思っていた私が馬鹿だった、休みなんてなかった。
そのまま次の日から授業とかほんと解せない。
そんなわけでテンションだだ下がりの私に、更にテンションの下がる事を言ってきやがった。
どうしてバスケ禁欲生活をしている私が学校帰りにわざわざバスケを見に行かねばならないのか。
それなんて拷問??
「いや〜今日は部活に黄瀬君居ないらしいのよ。そしたら必然的にお兄の頑張るゲージも溜まらない。さて、ここに清子が居ます。呼 ぶ し か な い 」
『森山兄の都合かよ!!!』
毎度のことながらこの兄あっての妹である。
私だって暇じゃないんだけど。
みゆみゆの新曲聴いたりうちわ作ったり暇じゃないんだけど。
「まぁ中学時代ならともかく、立海から海常まで行ける距離でしょ??お兄も清子にプレー見てほしいんじゃないの??」
ふむ。
確かに中学時代もよく“見に来てくれ”と言われていたが、私自身部長であり尚且つ常勝を掲げているだけあってなかなか休みも無く。
結局数えるほどしか見に行けなかった。
見学に行く分にはいいのだ。
私自身ゲーム運びとか参考になってるし、そのついで位に森山兄のモチベーションも上がるというのだから一石二鳥だろう。
だがしかし森山兄よ。
『森山兄的にはあのくっそ汚い回転の掛った謎フォームから繰り出される3Pを私に見てほしいの???』
「やめたげてよぉ!!」
回転は汚いと思うけど尊敬はしているんだよ??
尊敬はしているが参考にはしたくないシュートである。可哀想だから言わないけど。
「あ、これうちにもブーメランするじゃんつらたん!!!」
『でも個性だと思うよ』
「こっち見て言ってよ清子!!!」
そして散々拗ねた後“とにかく!!今日は行こうね清子”と言い逃げされてしまったので逃げられなかった。
解せぬ。
……解せぬ。
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